閑話休題

平日の日中に時間が空いたときは、なるべく大学へ行って

業務分野や、周辺分野についての専門書を読むようにしています。

業務用の専門書も市販されていますが、それはあくまでも業務マニュアル

的なものなので、系統立てた「学問」としての業務分野の知識は、

大学の図書館の方が充実していたりします。

大学も今はなかなか厳しい時代ですから、最新の・・・というわけには

いきませんが、総論、各論を見るくらいには十分です。

確かに「業務」だけを考えるならば、業界の専門書だけでも可能ですが、

制度の建てつけや、変遷を知るためにはそれだけでは

不十分だったりします。

日本の行政機能のほとんどは、戦後整備されたものですが、

戦後の混乱期に、付け焼刃的に始まったり、復興途上で追加されたり、

省庁再編の度に、所轄官庁が統廃合されて、移管されたり、

時代の急変の中での立法、改正が延々と続いたり・・・

様々な経緯が重なって、まるで地層のようになっている制度も

多分にあります。

今現在の新しい案件だけをこなすなら今の情報だけで

事足りますが、連綿と続いている歴史あるものが関わってくると

そうもいかなくなります。

要は、対象物の歴史的変遷を追っていかないと今現在の状態が

本当に正しいかどうか判断できない場合があるからです。

その好例なのが、不動産や戸籍です。

それこそ、江戸時代からの記録や登記、帳簿や、台帳などを

探していかなければいけない場合や、

当時からある付近のお寺の記録を探さなければいけない場合、

とっくの昔に廃止された役所の記録探しや、郷土史などを手掛かりに名主や

地主などの日記のような記録を探す場合など、

ある種、発掘調査じみた調査を必要とする場合もあります。

その場合、まさに「制度の変遷」を知っているかどうかで、調査の時間も

労力も桁違いに変わってきます。それはすなわち仕事の進捗に

ダイレクトにかかわってくるので切実な部分でもあります。

これらは決して、すぐに利益を生むものでもなければ、結果が出るものでも

なく、いつ役に立つのか?どう役に立つのか?が明確ではありません。

よって、「無駄骨」にも「徒労」にもなるものです。

しかし、まさに知っていなければ決してたどり着けない問題がある場合に

威力を発揮する懐刀のようなものなので、先行投資というか、

研鑽の一つとして続けています。

これらは、あくまでも一つの部品(ピース)なので、一つの単品で

どうにかなるものではなく、いくつかのピースが相互に

ハマることで一つの形をなすものになります。

ですので、蓄積している間は絶望的なまでに面白みがないものもあります。

それらを積み上げていく中で点が線になり、ピースがブロックになり

ある一定の地点に至ると、すべてがつながることがあります。

それが結果的に案件の解決や完了させることにつながったりしますので

決して侮れないけれども、終わりの見えない研鑽部分でもあります。

どんな仕事でも「見えない部分」にどれだけの労力をかけるかで

「見える部分」の成果が大きく違ってくるのは同じだと思います。

なにごとも土台の部分が一番肝要です。

(自戒をこめて)