親子編 31回目 参拾四

親子関係の特定において、母親と子供という

のは、出産という事実に基づくことで、

判断することができますので、女性と子供

という関係の特定する制度は

非常にシンプルな作りです。

しかし、父親と子供という関係の特定となると、

途端に問題が複雑化していきます。

女性は一度妊娠することでそれ以上、妊娠することは


ありませんが、(一度妊娠して、その妊娠中にさらに

妊娠するような場合はない。かなり特殊な例は別として)

男性の場合、女性が妊娠していても

それ以外の女性を妊娠させる機能があります。

もし、男性に、一人の女性を妊娠させた場合、

男性の生殖機能が停止するような設定があれば、

多くの問題は解決します。

(一夫多妻の場合は、別の問題が発生しますが)

しかし、生物であるが故の繁殖機能ですので

そうもいきません。

そこで、この「出産」という問題に関しては、

ほとんどが、男性と子供の関係についての

問題を解決するための方法と基準になります。

そのため基準となる期日と、出産事実による

子供とを分けて考える必要があります。

ただ、日本の法律上は分けて考えていますが、

分けていない制度の国もあります。

「婚姻」(法律的に婚姻が成立した)をした後に、

うまれてきた子供を

「嫡出子」(ちゃくしゅつし)といいます。

これはあくまでも法律の制度上の区分にすぎません。

両親にとっては、いつ生まれようが、子供は子供です。

それは間違いのないことなのですが、国の制度として

子供が親の子供であるということを制度上の区分として

用いる場合の名称です。

そして、その対義語として、

両親が「婚姻」をしていない状況で生まれた子供を

「嫡出でない子」といいます。

この「婚姻」と「出生」という二つの基準をもって、

わけることで、身分関係の特定をスムーズにしようとする

知恵です。