あんなにオシッコが嫌いだったのに(2016/1/19)
小学生の時、極力トイレに行かないようにしていた。オシッコをするのがおっくうでしょうがなかった。そんな時間があるなら、教室で友達と喋っていたかった。
膀胱をパンパンにして帰った。家に着いてから勢いよく用を足すのが好きだった。
あれから20年経ち、こまめにトイレに行く大人になった。成長したもんだ。
今日はご飯を食べる暇もないくらい忙しかった。そんな1日の終わりは、あれ?今日ってどっかで頭を激しく振ったっけ?と思うくらい脳みそが疲れている。何も考えられないほどである。
電車に乗って、1日トイレに行っていないことに気づいた。不思議なもので、その事に気づいた途端、とてもオシッコをしたくなった。
脂汗が止まらない。1日使ったハンカチはポケットからカバンに移してある。混雑した電車の中でカバンを漁るのは気が引ける。
しかし、汗が垂れてきている。ポケットに入っていたティッシュで額を拭う。
目の前の女子高生が怪訝な表情を浮かべる。そんなこと知ったこっちゃない。
オシッコの事しか考えられない。あれだけ懸命に仕事をこなした日の帰り道に、オシッコのことを考えている。そんな事で働かされる俺の疲弊した脳みそが不憫で仕方ない。
ごめんね。脳みそ。
オシッコを我慢する為に、膀胱になんとか信号を送り続けてくれ。
駅に着く。トイレに駆け込む。チャックを下ろす。オシッコをする。安堵が身体中を駆け巡る。
なぜか尾崎豊の僕が僕であるためにが脳内で流れた。
僕が僕であるために 勝ち続けなきゃならない
俺は勝った。オシッコに勝った。
20年前の俺よ。聞いてるか。
お前のおかげで勝てたぞ。
お前が膀胱を鍛えていたおかげで勝てたぞ。
ドッジボールでカーブばかり投げると嫌われるからあんま投げるなよ。
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