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国産・外国産ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタ 成虫飼育マニュアル

こんにちは!Stag Beetleです。

この記事はヒラタクワガタノコギリクワガタの基本的な飼育方法について紹介してまいります。

ここで紹介する飼育方法は、国産のヒラタ・ノコギリはもちろん、下記のような外国産クワガタにも対応しております。

《対応する種類》

  • スマトラ・パラワン・テイオウなどの代表的な外国産ヒラタクワガタ

  • ギラファノコギリクワガタ などの代表的な外国産ノコギリクワガタ

  • アンタエウスオオクワガタ

  • シェンクリングオオクワガタ



【クワガタの成虫管理方法】

【管理する場所と温度】

クワガタは直射日光の当たらない涼しい場所で管理します。
国産のヒラタクワガタ・ノコギリクワガタの場合、最適な温度帯は18~25℃程度です。

外国産の場合も同様の温度で管理可能ですが、やや涼しめの23℃程度が適温になります。

ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタはオオクワガタと比べると、寒さにも暑さにも弱いので、冬の厳しい冷え込みや夏の猛暑に耐えきれずに死亡するケースもあります。

そのため、ブリードして何世代も飼育をするつもりなら、エアコンや『冷やし虫家』で温度管理を行うのが賢明です。

【定期的な手入れとエサ交換】

クワガタは乾燥すると弱ってしまうので、ケース内に成虫管理用マットを3㎝程敷き、時折り霧吹き等で湿らせて飼育ケース内を保湿してあげましょう。

エサや尿で飼育ケースやマットが汚れたら新しいマットに入れ替えてください。

マットがベチャベチャの状態だと、フセツの欠損や麻痺などの原因となる他、蒸れて死んでしまうことがあるので、ケース内の状態を気にかけてください。

エサは食べきっていれば新しいエサを与えます。
エサが腐ると食べなくなるので、食べきらずに残っていたとしても1週間(夏は3~4日)を目安に新しいものと交換してください。

なお、エサが無くても1~2週間ほどであれば餓死することは滅多にありませんが、生体への負担は大きく、弱ったり繁殖に支障が出る場合があります。

旅行や帰省等でどうしてもエサがあげられない場合は低温(10~15℃)で管理し、強制的に休眠させるとエサの消費を抑えることができます。


【産卵させてみよう】

ヒラタクワガタやノコギリクワガタは、羽化してから4か月経過すると生殖器官が成熟し、繁殖が可能になります。
オオクワガタと違って季節を選り好みしないので、25℃前後で管理すれば一年中産卵が可能です。

【ペアリング】

産卵させるにはまず、ペアリングと言って、オスとメスを交尾させる必要があります。

ペアリングには同居ペアリングハンドペアリングがありますが、飼育スタイルに合わせてお好みの方法を採ると良いでしょう。

なお、野外採取したメスは既に交尾済みの場合が多いため、ペアリングを行わずに産卵させることも可能です。

✅同居ペアリング

ペアリング用のケース、又は産卵用のケース内でオスとメスを1週間ほど同居させ、クワガタの気分に任せて交尾させる方法です。
ヒラタクワガタやノコギリクワガタは気性が荒く、同居中にオスがメスを噛殺すことが頻発するため、大顎をインシュロックやワイヤー等で縛ることをおススメします。

✅ハンドペアリング

目の前で交尾を行わせて目視する方法です。
メスの背中にオスの触覚を近づけたり、オスの大顎裏をピンセット等で刺激したりして交尾に誘導することもあります。
メリットとしては確実に交尾を確認できるということがあげられますが、なかなか交尾が始まらないことや、交尾が始まったら終わるまで(長ければ数十分間)見届けないといけないなど、時間に余裕がないと難しいことがネックではあります。

【産卵に必要なもの】

ヒラタクワガタやノコギリクワガタの仲間は発酵マットに産卵します。

オオクワガタと同様に、朽木や植菌材、菌床にも産卵はするのですが、コストや産卵数を考えると発酵マットに産卵させたほうが圧倒的に優位なので、ここでは発酵マットを用いた産卵方法をご紹介していきます。

✅産卵用の発酵マット

クワガタの幼虫飼育用の発酵マットであれば基本的には何でも産卵してくれますが、安定して産卵数が多いのは、粒子が細かいマットになります。
おススメなのは『産卵一番』という商品です。
産卵一番は微粒子の発酵マットなので、固く詰めれば自然界の腐朽した朽木が再現でき、メスにとっては産卵しやすい環境を作り出すことができます。

【産卵セット】

産卵用の飼育ケースはクワガタの種類や産卵させたい数によって適宜サイズを選択します。

大型種であればコバエシャッターの中サイズ以上、クリアスライダーならラージサイズを使用します。
小型~中型種(国産種など)であればコバエシャッターの小サイズや1400㏄のクリアボトルでも産卵可能です。

産卵セットの組み方は、握って水が滴らない程度のに加水した発酵マットを用意し、ケースの半分くらいの高さまでマットを入れたら手や棒を使って固く詰めます。

この作業をマットを詰めた状態でケースの8分目程度の高さまで、繰り返し行います。

特にケースの底面と隅に産卵する傾向があるので、そこは入念に固めましょう。

産卵材をマットに埋め込んでおくと産卵を促すとも言われていますが、筆者の経験上、材はあってもなくても産卵数に変わりはありません

産卵セットができたら交尾済みのメスとエサ、転倒防止材を入れて1か月~1.5か月ほど管理します。

エサが無くなると産まなくなったり、卵や幼虫を捕食してしまうので、産卵期間中はゼリーを多めに与えてエサ切れしないように注意しましょう。

また、1か月以上産卵させる場合は、1か月おきに新しい産卵セットにメスを映してあげるとより多く産卵させることができます。

産卵を終えたメスは、再び成虫管理用のケースで個別管理となります。

【冬眠】

まず、ノコギリクワガタ全般は冬眠をしないので冬場も適温で管理してあげるのが理想です。

外国産のヒラタクワガタやアンタエウスおよびシェンクリングオオクワガタも、野生化では冬がないため、基本的には冬眠しませんが、冬眠能力はあるので以下の国産ヒラタと同様の管理で冬眠させることは可能です

国産のヒラタクワガタは18℃以下になると活動が鈍くなり、15℃を下回るとほとんどエサを食べなくなります。
10℃以下になると土の中でジッとしており、いわゆる冬眠の状態になります。

日本の東北地方以北にはヒラタクワガタが生息していないように、寒さには強くないため、5℃を下回らないように温度管理するのが良いでしょう。

冬眠中はマットの中に深く潜るので、飼育ケースの8分目くらいまでマットを入れます。

冬眠中はエサは必要ありませんが、マットが乾燥しないように定期的に霧吹きで保湿してください。

気温が15℃くらいになったらエサを食べ始める個体もいるので昆虫ゼリーを与えてあげましょう。


【さいごに】

オオクワガタと比べると、ヒラタクワガタやノコギリクワガタは温度管理がややシビアな面がありますが、極端に暑かったり寒かったりしなければ問題ありません。

ヒラタ・ノコギリは繁殖が簡単で大型化しやすいことから非常に人気のある種です。

ギラファノコギリクワガタやパラワンオオヒラタなどは、飼育のコツさえつかめば誰でも簡単に100mm超えの成虫を羽化させることが出来るので、ご興味のある方は是非、繁殖にトライしてみてください!

本記事では成虫の飼育方法のみにとどまりましたが、いずれ幼虫飼育方法の記事を執筆する予定ですので、お楽しみにしていただけると嬉しいです。

それではまた!

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