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国産・外国産オオクワガタ 成虫飼育マニュアル

24.6/22追記 説明を解かり易くするため画像を追加しました

こんにちは!Stag Beetleです。
この記事はオオクワガタの基本的な飼育方法について紹介してまいります。
ここで紹介する飼育方法は、日本のオオクワガタだけでなく、下記のような外国産オオクワガタにも対応しております。

《対応する種類》

  • ホペイオオクワガタ

  • グランディスオオクワガタ

  • クルビデンスオオクワガタ

  • タイワンオオクワガタ

  • リツセマ(パリー)オオクワガタ など

※アンタエウスオオクワガタおよびシェンクリングオオクワガタは下記事『国産・外国産ヒラタクワガタ・ノコギリクワガタ 成虫飼育マニュアル』を参照してください。



【オオクワガタの成虫管理方法】

【管理する場所と温度】

クワガタは直射日光の当たらない涼しい場所で管理します。
オオクワガタにとって最適な温度帯は18~25℃程度です。

それよりも寒いと活動が鈍くなり、逆に暑いと弱って最悪の場合死亡してしまいます。

お住いの地域によっては常温飼育も可能な種ではありますが、一日中30℃を超えてしまったり、冬場に凍結してしまうような環境では生きていけないので、必ず室内で飼育しましょう。

筆者の場合は室内で常温飼育ですが、日が差しにくい部屋で飼育しているので、今のところは猛暑日でも暑さが原因で弱ってしまったということはありません。

ですが、昨今の強烈な暑さを考えると、エアコンや『冷やし虫家』といった冷暖房があった方が良いかもしれませんね。


【定期的な手入れとエサ交換】

クワガタは乾燥すると弱ってしまうので、ケース内に成虫管理用マットを3㎝程敷き、時折り霧吹き等で湿らせて飼育ケース内を保湿してあげましょう。

エサや尿で飼育ケースやマットが汚れたら新しいマットに入れ替えてください。

マットがベチャベチャの状態だと、フセツの欠損や麻痺などの原因となる他、蒸れて死んでしまうことがあるので、ケース内の状態を気にかけてください。

エサは食べきっていれば新しいエサを与えます。
エサが腐ると食べなくなるので、食べきらずに残っていたとしても1週間(夏場は3~4日)を目安に新しいものと交換してください。

なお、エサが無くても1~2週間ほどであれば餓死することは滅多にありませんが、生体への負担は大きく、弱ったり繁殖に支障が出る場合があります。

旅行や帰省等でどうしてもエサがあげられない場合は低温(10~15℃)で管理し、強制的に休眠させるとエサの消費を抑えることができます。

【産卵させてみよう】

オオクワガタは羽化してから4~6か月経過すると生殖器官が成熟し、繁殖が可能になります。

産卵は初夏から晩秋にかけて行われ、気温が25℃前後となる5~6月ごろが産卵シーズンの最盛期になります。

オオクワガタの仲間は季節を感じやすい種のため、産卵シーズンを外すと温度管理をしても全く産まない個体もいますので、予めブリード計画を立てておくと良いでしょう。

【ペアリング】

まず、産卵させるにはペアリングと言って、オスとメスを交尾させる必要があります。

交尾の様子 メスを挟まないようにオスの大顎をインシュロックで固定している

ペアリングには同居ペアリングハンドペアリングがありますが、飼育スタイルに合わせてお好みの方法を採ると良いでしょう。

なお、野外採取したメスは既に交尾済みの場合が多いため、ペアリングを行わずに産卵させることも可能です。

✅同居ペアリング

ペアリング用のケース、又は産卵用のケース内でオスとメスを1週間ほど同居させ、クワガタの気分に任せて交尾させる方法です。
オオクワガタの場合は稀ですが、同居中にオスがメスを噛殺すこともあるので、大顎をインシュロックやワイヤー等で縛ると安全にペアリングできます。

✅ハンドペアリング

目の前で交尾を行わせて目視する方法です。
メスの背中にオスの触覚を近づけたり、オスの大顎裏をピンセット等で刺激したりして交尾に誘導することもあります。
メリットとしては確実に交尾を確認できるということがあげられますが、なかなか交尾が始まらないことや、交尾が始まったら終わるまで(長ければ数十分間)見届けないといけないなど、時間に余裕がないと難しいことがネックではあります。

【産卵に必要なもの】

オオクワガタの仲間は朽木植菌材菌床に産卵するので、産卵させる場合はこれらの用品を用意しましょう。

✅朽木

産卵用の朽木として流通しているものの多くは、椎茸の栽培で使われたクヌギやコナラのほだ木が多く、安価でホームセンターなどでも入手することが可能です。
オオクワガタの場合、あまり細いものは好ましくなく、最低でも直径5㎝は欲しいです。
オオクワガタは噛む力が強いので、やや硬い朽木を好みます。
硬さの目安としては木の断面に爪を立てて爪跡が残る程度が良いとされています。
また、朽ちていない木には産まないため、良く朽ちて軽くなったものを選びましょう。
朽木には、稀にクワガタの幼虫を食べてしまうコメツキムシ等の雑虫が紛れているので、冷凍処理や電子レンジで加熱処理をしておくと安心です。
産卵に使用する際は15分ほど水に漬け、加水してから使用します。

朽木は15分くらい水に漬けて加水します

✅植菌材

植菌材は、朽木にクワガタが好むカワラタケやニクウスバタケ等のキノコ菌を植菌したもので、産卵を促し、朽木よりも多くの産卵数が期待できます
植菌加工する際に加水・殺虫処理されているので、購入後すぐに使用できます。
主に昆虫ショップで取り扱いがありますが、流通数に限りがあり、価格も高価なため産卵シーズン前に必要数注文しておく等、確保にはひと手間必要です。

✅菌床

菌床産卵は、菌糸ビンに詰める前の菌糸ブロックや、菌糸ビンに産卵させる方法です。
菌種はカワラタケが一般的ですが、近年はレイシやニクウスバタケを用いた商品もあります。
菌糸ビンに産卵させる場合は菌糸を詰めて1~2ヵ月ほど経過し、菌の活性が落ち着いたもの使用するとスムーズに産卵してくれます。
菌糸関連の用品は昆虫ショップや菌糸メーカーからの取り寄せとなりますが、供給量が多く容易に入手ができ、価格も比較的安価です。

【産卵セット】

産卵セットに入れたオオクワガタのペア オスは1週間ほどで取り出します

産卵材や菌床を入れるため、産卵用の飼育ケースはコバエシャッターなら中サイズ以上、クリアスライダーならラージサイズを使用しましょう。

飼育ケースの底に広葉樹マットを5㎝程敷き詰め、その上に樹皮を剥いだ朽木や植菌材、菌床を置けばオオクワガタの産卵セットは完成です。

材をカビさせたくない場合は材をマットに埋めると良いです。
産卵セットのマットは、こぼれ落ちた卵や幼虫のエサにもなる広葉樹マットや、発酵マットを使用しましょう。

あとは交尾済みのメスとエサを入れて1か月ほど管理します。
エサが無くなると産まなくなったり、卵や幼虫を捕食してしまうので、産卵期間中はゼリーを多めに与えてエサ切れしないように注意しましょう。

また、1か月以上産卵させる場合は、1か月おきに産卵用の材を交換すると幼虫の捕食といった事故もなく、より多く産卵させることができます。
産卵を終えたメスは、再び成虫管理用のケースで個別管理となります。

【冬眠】

オオクワガタの仲間は18℃以下になると活動が鈍くなり、15℃を下回るとほとんどエサを食べなくなります

10℃以下になると土の中でジッとしており、いわゆる冬眠の状態になります。
冬の無い外国産のオオクワガタでも冬眠するの? と思うかもしれませんが、実は冬眠する能力が備わっているので、ご安心ください。

寒さに強いオオクワガタですが、0℃を下回る環境ではさすがのオオクワガタでも凍結して死亡してしまうため、管理場所の温度には注意しましょう。

冬眠中はマットの中に深く潜るので、飼育ケースの8分目くらいまでマットを入れます。

冬眠中はエサは必要ありませんが、マットが乾燥しないように定期的に霧吹きで保湿してください。

春になり、気温が15℃くらいになったらエサを食べ始める個体もいるので昆虫ゼリーを与えてあげましょう。


【おわりに】

オオクワガタはクワガタの中でも丈夫で、ニジイロクワガタと同じくもっとも飼育が容易なことから、クワガタ飼育の入門種とも言われていますが、サイズ感やカッコ良さから幅広い層から支持される不動の人気種です!

本記事で紹介した飼育の要点を抑えれば、3年以上生かすことも可能です。
飼育する機会があればどうか大切に管理してあげてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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