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ASKA 「星は何でも知っている」の歌詞を考える(アルバム Breath of Bless 13曲目)

こんにちは、ジニーです。

ついにこの曲の歌詞を考えるところまで来ました。
アルバム「Breath of Bless」の13曲目です。

ファンからすると、もはや考察をするまでもないくらい、ASKAがこの曲に込めた気持ちや考えは浸透しているように思います。

なぜなら、CHAGE and ASKAへの今の想いや考えが言葉の端々に込められているから。
少なくとも30年近くファンをやっていると、この曲は何の感情もなく聞くことはできない曲ではありますが、改めて歌詞を考えてみたいと思います。

■曲の説明と、その後ろにある背景

「星は何でも知っている」は、2018年8月25日に配信シングル曲としてリリースされました。
2018年は3月から毎月連続となるシングル配信を行っており、そのトリを飾る形でリリースされました。

8月25日はCHAGE and ASKAのデビュー記念日でもあります。
そして2018年8月25日はデビュー39周年の日でもあったのです。

曲のリリースとあわせて、歌詞の全様と、39周年を迎えた今のCHAGE and ASKAに対するASKAの気持ちがそれぞれオフィシャルブログで更新されました。

翌年3月にアルバム「Breath of Bless」がリリースされ、本曲も収録されました。
同年の8月25日。
CHAGE and ASKAのデビュー40周年となった記念日に、ASKAは正式にCHAGE and ASKAからの脱退を表明しました。

■曲にはASKAのCHAGE and ASKA再始動への考え方が読み取れる

歌詞については、せっかくなのでASKAのオフィシャルブログからご確認ください。

「とは言うものの」という歌詞から始まります。
こういう歌詞の始まり方っていうのは、なかなかないですよね。
それまでの話があって、その話を受けて、語りだすというような形です。

似たような構成の歌詞は、「On Your Mark」もそうですね。

そして僕らは いつもの笑顔と姿で
埃にまみれた 服を払った
「On Your Mark」

この歌詞も、そこまでの物語があったことを聞き手にイメージさせる効果がありますよね。
「星は何でも知っている」と「On Your Mark」とで違うのは、前者はある程度そこにある物語が限定されていて、後者は聞き手にそのイメージをゆだねているところでしょうか。


ここではCHAGE and ASKAの再結成についてのことが、前段としてあると捉えるのが自然の流れですね。

この曲がリリースされた当時はまだASKAの脱退表明前ではありましたが、ただ、再始動というのは非常に難しい状況でした。
ファンをはじめ、各方面からそういった話もされてきたと思いますし、ASKAも復帰していこうチャゲアスの再始動には前向きだったように感じます。

しかし、この記事を書いている今日まで、二人が並ぶ姿は実現されていません。
双方の今の立ち位置があり、優先するものがあり、気持ちがある。
そこが噛み合う時期がなかった、一言で言えばそうなのでしょう。

では、CHAGEとASKAのそれぞれにチャゲアスへの愛がなくなってしまったのか?
これは、きっとそうではないと思います。
それぞれがチャゲアスを大切に愛しているからこそ、噛み合わないものがあるのだと思います。
そういう観点から見ると、この曲からはASKAがチャゲアスをどういう風に見ているかが伝わってくる内容となっています。

始まらないのは 終わろうとしないからさ
懐かしいことにして 新しい服を着よう 歩こう
行ってはいけないこの道を
もう行かずにいられない

曲では割と冒頭で、核心に触れたような歌詞と出会います。
「始まらないのは 終わろうとしないから」。
非常に意味深な言葉ですね。
チャゲアスの再始動という言葉をそのまま当てはめるとすれば、終わっていないから再始動ができないということですね。

何を終わらせるのか、は僕たちには不明な部分が多いです。
同様にチャゲアスに関することを意識したと思われる曲、「憲兵も王様もいない城」の歌詞も一緒に読み解いていくと、事務所であったり、二人を取り巻く環境などが絡んでいるような想像はできます。

くしくも新たな環境に身を置き、いままでとは違う景色が見えているASKAはお飾りの城など捨てようと言います。
しかし、CHAGEにしてみれば「そうか分かった」と言うわけにはいかない事情もある。

すごく情緒も何もない言い方をしてしまうと、2人が同じ目線でいてくれれば、とっくにチャゲアスは復活していたということなのでしょう。

でもそうじゃない。
ここが、とても大事なところなのだと思います。

いまは再始動できない、この事実を、この判断を尊重するしかない。
どちらが正しいとか、どちらが悪いとか、言い出したらきりがないです。
完全な中立なんて難しいのですから、天秤のように傾いている一方の意見を正しいと感じてしまう以上、ファンが言葉を発すると収拾がつかなくなるようにしか感じません。

どうしてもこういうケースは、責任の所在を気にしてしまいがちですよね。そういう気持ちはとてもよくわかりますが、それを明らかにしたところで何にもならないというのが僕の正直な考え方でもあります。

そういったファンの心理も意識してか、ASKAは歌詞の中でこのように綴っています。

何があっても 僕は僕のままさ
君はとても良い人で きっと僕は悪い人 酷い人

右から僕を微笑む人 左から僕を睨む人
みんな一緒に迷い子に なってるみたい

受け取り方によっては皮肉のようにも読めてしまうのですが、そういう受け取り方もひっくるめてこの歌詞を書いていると思います。
器の大きさとかそういうのではなく、「行ってはいけない道」を行く以上、批判はついて回るからです。

素直に、よくこの曲をリリースする気になったなというのが僕の感想なのですが、それも「行ってはいけない道」を行くために必要なことだったのだと思います。

■なぜ、「星は何でも知っている」というタイトルだったのか?

ここまで書いてきたように、非常にナイーブな内容に触れているのがこの曲の歌詞の特徴と感じるのですが、「星は何でも知っている」というタイトルにも何か想いが込められているのでしょうか?

ネットで検索をすると同盟のタイトルの曲があることがわかります。

平尾昌晃さんの、曲ですね。
気になったので、平尾さんの曲の歌詞も調べてみました。

こちらは淡い恋の様子を描いた歌詞ですね。
読み進めると、抑えきれない恋心を持て余す男の心情が、好きな女性に思わずキスしてしまった後ろめたさが綴られています。
曲を聴いていると、たぶん両想いの2人なんだろうなと、そんなイメージが浮かんできます。
でも、相手の心情は見えないものですから、その様子を見ていた夜空の星を通して、きっと想いは通っているはずと確かめています。

自分の知らないことでも、空の星は見て知っている。
こうあってほしいという願いを星に託しているところもあるのではないでしょうか。

ASKAの「星は何でも知っている」についても同じように、夜空の星は見て知っているということなんだと思います。
自分が決めた信じる道を、自分に偽りなく歩く姿を星はきっと見ている。
そこにある想いと、その歩みが辿り着くことをきっと知っている。
そういった想いが込められているように感じます。

そしてもう一つ。
これは僕の勝手なこじつけですが、星という言葉に長く続く継続性のようなものを感じるのです。
星は、宇宙のはるか彼方から、過去の光を届けています。
今見ている星の光は、現時点では消滅した星の光である可能性もあるのです。
ありのまま、届く光。
遥か彼方、そこにあった過去と今とをつなぐ光。
過去は変えられません、過去の延長が現在であり、その繰り返しが未来に続きます。
いつか来る未来、そこにあった光が届いていますように、と思わずにはいられなない自分がいると、記事を書きながら気づきました。

そういうことを考えると、星であることがしっくりくるんですよね。
太陽ではなく、星。
誰も知らない痛みや悩みを抱えながら、前を向く姿というのは、ひっそりとした夜のイメージが重なります。
そんな姿を見守るのも星であることに、どこか安らぎや優しさを感じます。

ASKAの曲の歌詞ですが、きっと同じようなものをCHAGEも持っている。
多分、人はみんなそういったものを持っている。
そういうものを、きっと星は全部知っている。

見上げた先にある夜空の星に見られていると思うと、嘘をつかず生きていかねばと姿勢を正されるような気持ちになります。

■最後に

やっぱり僕はこの曲がとても好きです。
賛否両論ある歌詞でもあると思いますが、僕には相手へのいたわりも尊敬も感じることができる。
何処か言葉にすることもはばかられる、ファンとして胸の内にある想いが、二人にとっては喜ばしい想いではないのかな、とそんなことも考えたりすることもありました。
でも、そういったものもすべて星は知っているだなと思うと、ありのままでありたい、ありのままを受け止めたい、そんな風に素直になれる気がします。

僕はそう感じるのです。

それぞれの歌を聴いていると、どうしても浮かんでしまうもう一人の誰かさん。
さしずめファンの僕らは、「二人をいつも待ってた今夜の星たち」なのかもしれません。
どうぞ、ありがとう。


参考までに、「憲兵も王様も居ない城」の歌詞の記事も載せておきます。




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