「金で選挙に勝つ」の境界線

私生活がとんでもなく忙しくなってバタバタしているうちに石丸市長の都知事選への出馬が決まったりで書きたいなと思っていた石丸市政の4年間のまとめ記事がなかなかまとまらず・・・難しいですね。

今回は少し思ったことを書いてみます。

先日、石丸氏と暇空氏の対談がありました。
後半は漫画クイズだけだとのことだったので冒頭だけ見ていたところ、ちょっとおもしろいなと思うところがありました。

それは「金で選挙に勝つ」ということを暇空氏が批判していた場面です。

話の流れとしては、石丸氏が選挙ドットコムの動画に出演して発言した「選挙を金使って優位に運ぼうとするのはチート行為」という文言についての議論の時でした。
石丸氏はYoutubeやXにおいて政治活動の広告を有料で行っているため、「お前も金でチート行為をしているやん」と言われてしまったというわけです。
さらにそのような指摘に対して石丸氏は「その時の文脈は裏金問題や河井事件のことである」というようなことを言っていました。

この発言に対して、他の政治家が行う金を使った政治活動を批判しているにもかかわらず、自分自身も大金を使った政治活動をしているのでダブルスタンダードと批判されてしまった形です。

さて。
この指摘は一見ぐうの音も出ない批判だなぁとも思うのですが、よくよく考えてみるとアレ?と思ったわけです。
この批判の仕方ってすべての政治活動ができなくなりませんか?
例えば街宣を行うにもスタッフや機材を調達するためのお金が必要ですし、ポスターを配るなら印刷代や配送代がいります。
講演会を開くためにもホールを確保したり機材を確保したりと根本的に金のかからない政治活動は存在しません。
にもかかわらず、金を使っていること自体を批判をするということは、つまるところ政治活動するなということになってしまいます。

でもそのような批判はおかしいですよね。
政治活動をすることすら許されないなどという意見がこの国においてただしいわけはないです。

したがって、政治活動に金を使ったかどうか、0か100かではなく、もう少し違った物差しで基準を定める必要がでてきます。
例えばその金額であったり、やっている内容であったり、お金の入手方法であったり。

改めて石丸氏の当時の発言を振り返ると、「裏金問題に対してどう思うか」「選挙にお金がかかりすぎるのは問題では?」という問いに対して話をしており、その返答として「法律的には使えるお金は決まっているので無尽蔵というわけではない」「ただ町中、年中どこかしこに政治家のポスターが貼ってある」「選挙活動ではないからあれは許されているが法の抜け道」「顔を売って知名度で選挙に有利になる」「金で勝っている」「金でしか勝てない人間は政治家を辞めてほしい」「本当に必要とされている存在であれば金は要らない」などと話しています。

ここで、翻って現在の石丸氏はというと、件の広告というのは「選挙活動ではない期間に」「顔を売っている」「SNSやyoutubeに広告を流す」というところで、石丸氏が批判していた街中のポスターと比べると、ポスターを貼るかネット上に流すかの違いというところでしょう。

なので、そういった意味で批判がくるのは当然だと思います。

しかし、石丸氏がその返答になった理由にも少し触れてみたいのです。
今回私が「ちょっと待てよ」と思ったのは暇空氏の質問です。
今回の議論の流れでは「金を使っているのが悪い」「公職選挙法違反だ」という質問がなされました。
そのように聞いてしまうと石丸氏が「法律にはのっとっている」と答えるのは普通だと思います。
つまり、上記でも述べた通り金を使うこと自体は問題ではないはずです。加えて違法性があるわけでもありません。
問題の本質は「石丸氏が批判した選挙期間外のポスターと同じことしてませんか?」というところなのでそこにきちんと焦点を絞って質問すればもっとおもしろい答弁が引き出せたのにと思うのです。
確かに最後のところで「ポスターと一緒でしょ」のようなことを言っていたので触れてはいるのですが、最初の質問がズレていたので本質に行かずに終わってしまいました。
その後、この話を深掘りするのかと思いきや弁護士の登場を拒否して漫画クイズへと移行してしまったので惜しいなぁと思っていました。

最後に、今回の件に関しての私の個人的な意見です。

今回の都知事選はどう考えても小池氏蓮舫氏が強いです。
石丸氏が普通にやっては勝てないと思います。
そういう場面で、できることをせずに誇りを胸に負けることを選ぶのか、ダサいことをしても勝ちを目指していくのかという判断ではないでしょうか。
幸いにも、多くの支援者から多額の寄付をもらっているようですし、今回の石丸氏はやれること全部やって勝ちを狙いに行ったんだろうなぁと思います。

自分の言葉を曲げたことを批判する人もいると思いますし、それだけ本気で勝とうとしているとみる人もいると思います。
そこの受け止めは人それぞれだろうなぁと思います。
なぜ言葉を曲げたのか、聞いてみたかったですね。

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