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Miki meets Carpenters

 どこを見て,何を考えているのだろうか?遠くを見つめながらカーペンターズに耳を傾けている「昔のお嬢さん」たち。
 その遠くを見つめる瞳に映っているのはきっと「昔のお嬢さん」たちが「お嬢さん」だったあの日の自分がいる、あの日の光景なのだろう。
 老若男女、カーペンターズ・ファンたちが集った。2023年12月9日(土)、「MIKI MEETS THE CARPENTERS 2023」がラドンナ原宿(東京都渋谷区神宮前4-28-21 ハーモニー原宿B1F)で行われた。
 そのライブ・イベントはピアノのイントロとともに始まった。まずは「A Song for You」。レオン・ラッセルのペンによる美しいナンバーだ。2曲目が続いたー「We've just only begun」。
 「初期のナンバー2曲をお届けしました。カーペンターズだけといってもみなさん知っている曲が多いと思います」とMikiさん。


 続けてMikiさんが説明した。「次は1971年の『Carpenters』というアルバムからで大好きな曲です。作詞のロジャー・ニコルスと作曲のポール・ウイリアムスのチームによるナンバー」といって歌ったのは「Rainy Days and Mondays」。邦題は「雨の日と月曜日は」。
 次は「Breaking up is hard to do」。終わるとMikiさんは「カーペンターズはスローな曲が多いから、みなさん眠くなっちゃいますよね。これはシングル・カットされてないけれど・・・」と言いかけると客席から「されてます。日本だけです。アメリカではされていない」との細かな説明がなされて、Mikiさんもたじたじだった。
 「カレンが亡くなった後、未発表曲を集めて『As time goes by』というアルバムを出した中の一曲です。当時TBSドラマで使われて、すごくかわいかったのですぐ好きになりました。とても難しい曲で歌えるようになるまで苦労しました」と話してから披露したのは「Rainbow Connection」。
 『Passage』からの曲を歌い、バンドメンバーの紹介をした。ドラムスは辻田健太郎、ベースは藤田哲也、ピアノつまりリチャード役は船本泰斗、キーボードは岡本貴充そしてギターが廻大輔。
 Mikiさんが船本さんに訊いた「リチャードのピアノって?」。すると船本さんは「難しいんですよ。独特の手癖がありますし」と答えた。


 Mikiさんはカーペンターズの曲に日本語詞をつける試みも行っている。「私がカーペンターズの曲で一番好きな曲」といってMikiさんが日本語詞で歌ったのは「Love me for what I am」だった。続けてカーペンターズを代表する曲で全米ナンバーワン・ヒットの「Close to you(遥かなる影)」。
 「カーペンターズはビートルズのカバーがわりと多いので、ヒット・メドレーを哲也さんのアレンジでやってみたいと思います」とMikiさんが話して演奏したのは「Ticket to ride」~「Please Mr. Postman」。
 続けてオリジナル・クリスマス・ソング「Merry Christmas Darling」。その後に「This Masquerade」と「I won't last without you」。
 Mikiさんは「カレンが32歳の時に亡くなって、今年で40周年なんですよね。前に私が歌っていた時はカレンと同じくらいの年齢だったのが、今はカレンは10歳以上も下になりました。カレンが一番好きだという曲を聞いてもらいたいと思います」と言って「I need to be in love」を歌った。
 ここで休憩を挟んで第2部がスタートした。まずはピアノの伴奏のみでMikiさんが「From this moment」を披露した。これはもともとバッハの有名な作品で途中からオリジナルのアレンジを施した。
 続けて2人で「Together Christmas Again」。


 そしてバンド演奏に戻って「For all we know」と「I have you」。
 Mikiさんがメッセージを代読した。カーペンターズのすべてのアルバムで対訳と解説をしている小倉ゆう子さんからのメッセージだったー「今、アイスランドに住んでいます・・・生でMikiさんの歌声が聞けないのが残念です・・・音楽には人を惹きつけ繋ぐ力があります。それは生きていることを楽しむことではないかとライブに行く度に思います」。
 2024年はカーペンターズのデビューから55周年。小倉さんがコーディネートしてのカーペンターズゆかりの地を巡る米国ツアーが予定されている。カリフォルニアのダウニーなどを訪ねるという。
 演奏に戻って「Let me be the one」「Jambalaya」「Sweet sweet smile」と続けた。それでリクエストに応えてのコーナーで2曲ー「You」と「Superstar」。そしてMikiさんは「最初はアン・マレーの歌で知った曲」だとして「I just fall in love again」。


 「A kind of hush」と大ヒット曲「Yesterday Once More」が続いた後、ギターソロが印象的なナンバー「Goodbye to Love」。
 アンコールは「Top of the world」。最後の最後はピアノをバックにして「Sometimes」をしっとりと歌い上げて、締めくくりとしたのだった。
 遠くを見つめながら瞳の中にかつての自分を見ていた「昔のお嬢さん」たち。まさに「Yesterday Once More」。そんな素敵な夜が過ぎて行った。


 

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