見出し画像

ビートルズ893と乙女たち

 ビートルズ893藤本国彦さんのナビゲートで「1966カルテット」ー松浦梨沙さん(バイオリン、リーダー)、花井悠希さん(バイオリン)、伊藤利英子さん(チェロ)、増田みのりさん(ピアノ)-が奏でるビートルズのヒット曲そして隠れた名曲の数々を堪能した。
 「1966QUARTET&藤本国彦 ビートルズ・ラボ」と題したライブ&トークイベントの第二弾が2024年2月28日(水)、「南青山MANDALA」(東京都港区南青山3-2-2MRビルB1)で開かれた。
 この日はビートルズ3枚目のオリジナル・アルバム『A Hard Day's Night』と5枚目『Rubber Soul』にフォーカスした。

 定刻の午後7時を過ぎると、白衣姿の藤本さんを先頭に1966カルテットの4人がステージに現れた。
 そして演奏されたのが「A Hard Day's Night」だった。
 「ビートルズ216曲のうち1966カルテットは四分の一くらいはレパートリーだと思いますが、これは画期的なコンサートで地味な曲も含めて、ビートルズをクラシックで演奏すると印象が変わるんですよ。ああ、こんなメロディーなんだって気づくとかね」と藤本さんが語った。
 この後、藤本さんがビートルズ最初の主演映画「A Hard Day's Night」のサントラ的アルバムの解説をした後、1966カルテットが3曲続けて演奏したー「I should have known better(恋する二人)」「If I fell(恋におちたら)」「I'm happy just to dance with you(素敵なダンス)」。
 3曲終わると藤本さんがコメントー「一曲ごとにおじぎするところはビートルズみたいでいいですね」。
 藤本さんは続けて「恋する二人」が映画の中では列車内で4人がトランプをしている時に流れ、その時にジョージ・ハリスンがパティ・ボイドと出会ったという話などをした。
 「素敵なダンス」については「アレンジが情熱大陸系でよかったですね」と藤本さんが語ると1966カルテットが反応した。


 ここから続けて3曲ー「And I love her」「Tell me why」「Can't buy me love」。リーダーの松浦さんは特に「Tell me why」のようなノリのよい曲では身体を左右に動かしながら本当に楽しそうに演奏する。
 1966カルテットはさらに4曲演奏したー「Anytime at all」「I'll cry instead(ぼくが泣く)」「Things we said today(今日の誓い)」「When I get home」。この2曲目について藤本さんは「非常に歌詞がよくてロマンティックで、ポール自身気に入っていて、ソロでも演っています」と話した。
 「すごい攻めてるアレンジですね」(藤本さん)。
 次に演奏するのがジョンの「You can't do that」だったが、藤本さんは「ジョンの初期は暴力的な歌詞が多く、ここでは12弦ギターを使っています。そしてライブ・レパートリーだった黒っぽい曲です」と解説。
 前半の最後は『A Hard Day's Night』の最後の曲「I'll be back」。「ポールが「Things we said today」、ジョンがこの曲とデル・シャノン風の曲を二人とも書いています。ちょうど対になる感じ」(藤本さん)。
 ここで休憩が15分入った。


 後半のスタートは「Day Tripper」「We can work it out(恋を抱きしめよう)」「Drive my car」「Norwegian Wood(ノルウェーの森)」。
 後半最初の2曲は65年の『Rubber Soul』の先行シングルで、その後は同アルバムの一曲目、二曲目だ。
 1966カルテットのレパートリーになっている『Rubber Soul』の曲は多くて、「みんな知っている曲が多いですよね」と藤本さんは言った。
 ここで「You won't see me」「Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)」「Think for yourself(嘘つき女)」「The word(愛のことば)」と4曲。
 「The word」を演奏すると、バイオリンの花井さんからメンバー紹介があった。そして人気曲の「Michelle」。ピアノとチェロがほとんどの演奏を手がけ、バイオリン2本は少しだが効果的に使われた。
 「What goes on(消えた恋)」ーこれは唯一の「Lennon-McCartney-Starkey」のクレジット作品だ。
 そしてジョンの「Girl」とポールの「I'm looking through you」が続いた。
 藤本さんは『Rubber Soul』について「ビートルズのバンド・サウンドの頂点であり、中期の傑作」と呼んだ。
 ここからアルバムの残る4曲ー「In my life」「Word」「If I needed someone(恋をするなら)」「Run for your life(浮気娘)」。
 アンコールは2曲。当時出た4曲入りEPに収められていた2曲を演奏して締めくくった。まずジョンの「I call your name」。最後はカバー曲ながらライブの締めくくりの定番だった「Long Tall Sally」だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?