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京都橘高校吹奏楽部便り①

 桜を待たずして橙色の美しい花々が咲き誇った。早くも満開である。
 そう、「オレンジ色の悪魔」こと京都橘高校吹奏楽部のマーチング・ブラスバンドのパフォーマンスを目の当たりにしてそう思った。
 滋賀県大津にやって来た。
 2024年3月22日(金)から3日間、京都橘高校吹奏楽部の第60回記念定期演奏会が「滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール」で開かれた。
 京都橘高校吹奏楽部のマーチング・ブラスバンドは名高く、国内のみならず台湾、米国など海外でも知られている。
 台湾では何と「橙色悪魔」との名称をマスコミからもらった。コスチュームがオレンジで、皆を一瞬にして虜にしてしまうからだろう。
 実際に見たいと思っていたが、やっと念願が叶った。
 ロビーでは、これまでの同部の活動実績が紹介されていた。

令和3~5年の3年連続でマーチングコンテストで金賞を受賞 
台湾遠征も行った 
台日友情の文字が金色で縫われている 
京都橘高校吹奏楽部の代名詞ともいえるオレンジのコスチューム


 まずは第1日目。開演前にまずは顧問の兼城裕(かねしろゆたか)先生からの挨拶があった。うれしい報告があったー2025年1月に3回目の米ローズ・パレードへの出演が決定したと。これはアメリカのカレッジフットボールの頂上決戦に先駆けて行われる世界一のパレードだ。
 しかし、兼城先生は「昨今の円安や物価高で一人当たりの負担する(渡航)費用が今まででは考えられないほど高くなっています」という。
 そのうえで兼城先生は「ローズ・パレードに参加するために費用の協力をクラウド・ファンディングでお願いしているところですが、たくさんの協力を頂いており、私たちはうれしいのは当たり前なのですが、皆さんの期待の大きさに身が引き締まる思いでいます」と話した。

ローズ・パレード参加校名が入ったプレートや、Tournament of Roses Music Committeeから京都橘高校に贈られた
盾 2017-18(中央の黒い盾)、「Disney Performing Arts applauds your dedication to the arts」と書かれた白い盾 (2017)など


 午後6時。それぞれが自分の楽器を持ってステージに登場し定位置につきチューニングが終わると、指揮者を務める兼城先生が現れた。
 第一部はコンサートステージだ。


 1曲目に演奏されたのは「Fanfare for Tachibana」(作曲:鈴木英史)。途中、中央のドラムセットに男子生徒が座り、見事なドラムソロを披露した。
 そして全日本マーチングコンテストの曲がさらに3曲続いたー「木陰の散歩道」(作曲:E.F.ゴールドマン)、「ばら色の人生」(作曲:L.グリエルミ)、「The sing」(作曲:L.プリマ)。
 次は「イタリア出身の伝説的バイオリニスト・パガニーニの作品を主題としつつ、ラフマニノフの24の変奏曲として展開されていく”パガニーニの主題による狂詩曲”です」と司会が紹介した。
 続いてはプッチーニのオペラ「トゥーランドット」。

スーパーマリオにOne Piece
 「ここからポップスコーナーです」と宣言され、その最初はゲームキャラクターとして世界的に有名な「スーパーマリオブラザーズ」(作曲:近藤浩治)。その後は人気漫画「One Piece」の初代オープニング曲だった「ウィーアー!」(作曲:田中公平)。
 そして、ここからは初日のハイライト「中学生合同スペシャルステージ」となった。会場の後ろから通路をステージに向かって中学生たちが登場した。さまざまな制服からすると、多くの中学校から参加しているようだ。
 司会は「76名の中学生が参加してくださいました。高校生と合わせて174名で演奏させてもらいます」と話した。
 合同パフォーマンスの最初は、米アリゾナ州北部セドナの自然を表現した「セドナ」(作曲:S.ライニキー)。そしてピノキオで使われた「星に願いを」を冒頭とエンディングにあしらったディズニー・メドレーが続いた。
 楽しい音が次々に重なり合い、ハッピーな気持ちにさせてくれる。

いよいよ待望のマーチングステージ
 休憩を挟んだ後、第2部「マーチングステージ」だ。
 最初の衣装はブルー。

ブルーの衣装 


 最初は「Winter Games」(作曲:D.フォスター)で、演奏しつつ踊りつつ、そのなかでいろいろなステップが披露されていく。
 続いては松田聖子がメジャーになるきっかけを作った2曲目のシングル「青い珊瑚礁」(1980)でみなが踊りまくる。
 そして映画「ブルースブラザース」で使われたオーティス・レディング作曲の「I can't turn you loose」。
 フランキー・ヴァリのナンバーをのちにボーイズ・タウン・ギャングがディスコ調にアレンジした「君の瞳に恋してる」。
 続いては「サマータイム」(作曲:G.ガーシュイン)で、冒頭のアンニュイな響きをトロンボーンでの見事なソロで聞かせた。
 米黒人ソウルグループEarth Wind & Fire(EW&F)の人気ナンバー「September」(作曲:M.ホワイト)がその後に。
 ここで生徒から話があった「本年度のテーマは”Reach the Peak”です。今年は常に高みを目指して活動してきました」。
 ここで祝電の代読があった。
 台湾の前総統の蔡英文氏からも祝電が届いた。

台湾の蔡英文総統からの祝電

 ここからは1,2年生によるパフォーマンスだ。衣装はオレンジ色。
 まずはノーランズのヒット曲「ダンシング・シスター」。ノリがよくって若者たちの溌剌としたマーチングにはぴったりとくる曲だ。
 続いてはポール・アンカの楽曲でフランク・シナトラの歌唱で知られる「My Way」だった。サラリーマン親父がカラオケでよく歌う曲だ。

元気いっぱい、笑顔いっぱい、夢いっぱい
 ここで部長が挨拶した。「98名の部員がいます。モットーは”元気いっぱい、笑顔いっぱい、夢いっぱい”です」。
 「今回は60回目の記念すべき演奏会なので例年と違ってたくさんの企画を考えました。そのひとつが中学生と一緒に演奏をすることでした」。
 「コロナによる制限が緩和され、多くの人たちとつながりを持つことが出来ました。本当に幸せな気持ちを感じてきました。みなさまへの感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます」と話すと大きな拍手が起きた。


 締めくくりの3曲を残すばかりとなった。
 まずは「Runaway Baby」。そしてクラリネットでソロ演奏するイントロで始まる「Memories of You」。最後の最後は京都橘高校吹奏楽部の代名詞ともいえ、どこへ行っても一番拍手が大きいといわれる「Sing Sing Sing」。
 みなのびのびとパフォーマンスしていて、こちらも自然と笑みがこぼれ幸せな気分で満たされた。

びわ湖ホールから見るびわ湖

(冒頭の写真は:中華文化総会 高雄市 日台交流協会による)


 
 


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