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あの素晴らしい歌を@有楽町

 2024年6月27日(木)、「あの素晴らしい歌をもう一度コンサート2024東京」が東京国際フォーラム・ホールAで開催され、懐かしい歌が次々に披露された。今年で6回目のコンサートの目玉は、加藤和彦さんが遺した名曲の数々が歌われることだ。
 出演者は:イルカ、岡崎友紀、尾崎亜美、小原礼、クミコ、杉田二郎、タブレット純、トワ・エ・モワ、松山猛、森山良子、LE VELVETS、きたやまおさむ。司会はニッポン放送パーソナリティ上柳昌彦とタブ純が務めた。
 まず、司会の二人がステージに現れた。
 上柳さんの話に続いてタブ純さんは「アルフィーの高見沢です」というとリアクションがあり、言い直したー「ニセアルフィーです」。
 上柳さんは「これが噂のタブレット純さんです」と紹介した。
 そして出演者がずらりとステージに横に並んで歌ったのは「花嫁」だった。これははしだのりひことクライマックスの楽曲だ。

はしだのりひことシューベルツ「風」


 メンバー紹介の後、杉田二郎さんが登場した。杉田さんが「5000人の会場が超満員です」というとタブ純さんが「ぼくには3000の霊がついているといわれていますが、5000だとそれより多いんですね」と話した。
 杉田さんが歌ったのは「戦争を知らない子供たち」。これも北山修・作詞で、作曲は杉田さんの歌だ。
 「今年誕生日が来ると78歳になります。今日は出させていただいてありがとうございます」と杉田さんは話すとイルカさんを紹介した。
 ステージに現れたイルカさんは「初めて二郎さんに会ったのは私が19歳の頃でしたが、もう古希を過ぎております」と話した。
 ここで杉田さんとイルカさんは二人ではしだのりひことシューベルツの「風」を歌った。作詞・北山修、作曲:はしだのりひこの名曲。
 イルカさんは思い出話を続けた。「私、二郎さんが社長をやっていた事務所に入れてもらって、そこではいつもオフコースの二人が練習してました。暗~く」と話すと会場から笑いが起こった。
 ここでイルカさんのオリジナル曲「人生フルコース」。人生も還暦を過ぎるともう終わりだなというふうに思う人もいるかもしれないけど、そこからがお楽しみすなわち「デザート」が待っているという歌だ。
 そして今年50周年を迎えている名曲「なごり雪」を披露した。

イルカ「なごり雪」


 作詞・作曲が伊勢正三さんで最初はかぐや姫がアルバムに収録し、あとからイルカさんがシングル曲としてリリースして大ヒットさせた。
 この歌の繊細な歌詞とメロディ―を耳にすると、いかに正やんの才能が凄いものかを改めて思い知らされる。

田舎の小学生かと思った!?
 ここで司会者二人が再び登場した。
 上柳さんが「イルカさんはタブレットさんのことを大好きなようです」というと、イルカさんが「先日ラジオ局でギターを持って立っているタブレットさんに会ったんです。それで写真を一緒に撮って撮ってって」。
 イルカさんはその時マスクをしており誰か分からなかったようで、タブ純さんは「田舎の小学生かと思った」そう。ここでイルカさんがそもそも夫となる人と組んでいたシュリークスのナンバー「君待つと」をタブ純さんが好きだという話をして二人で歌のさわりを歌った。
 次に登場したのはトワ・エ・モワの二人。
 タブ純さんが「阿佐ヶ谷姉妹さんと「虹と雪のバラード」をカラオケで歌います」というと上柳さんは一言「今、その情報はいいから」。
 トワ・エ・モワは「或る日突然」と「空よ」を歌った。久しぶりに向かい合って歌って若干恥ずかしそうだった。

トワ・エ・モワ「或る日突然」


 尾崎亜美さんと「レジェンド・オブ・ベースで配偶者でもある」小原礼さんがステージに上がり、亜美さんはキーボードそして小原さんはもちろんベースで「My Song for You」を歌った。
 亜美さんは昨年嚢胞を取るために片方の声帯を切ったという話をして、「頑張ってリハビリをしてステージに戻って来れた」と話した。
 そして亜美さんは自らが作り杏里の歌唱で広く知られるようになった「オリビアを聴きながら」を歌った。
 身長180センチ以上、音大声楽科卒業という条件をクリアした4人が結成したLe Velvetsが続いた。メンバーは佐藤隆紀さん、佐賀龍彦さん、日野真一郎さん、宮原浩暢さん。
 佐藤さんはミュージカル「レ・ミゼラブル」にジャン・バルジャン役で出演することが決まっている。
  まず歌ったのはイタリア歌曲「オ・ソレ・ミヨ」。
 見事な歌唱を披露した4人は続けて「マイ・ウェイ」をスペイン語で歌った。バンドマスターの高田連さんが弾くスパニッシュギターが見事だった。
 次は俳優として「奥さまは18歳」など奥さまシリーズで活躍した岡崎友紀さん。股関節のトラブルに悩まされてきたが思い切って手術をして「足だけ30歳若くなっちゃった」と話す。
 1972年の歌「私は忘れない」を歌った。

岡崎友紀「私は忘れない」


 ここでバンドメンバーが紹介された。
 歌唱力に定評があるクミコさんが登場した。まずは吉田拓郎さんの作品「制服」。これは集団就職についての歌だ。そして「今の時代に一番必要なのは愛、愛しか救えるものはない」というと越路吹雪さんの歌唱で知られるシャンソンの定番曲「愛の讃歌」を歌い上げた。
 ここまでが第1部で、20分の休憩となった。

森山良子さんで第2部がスタート
 第2部が始まるといきなり森山良子さんがステージに出て来て歌い始めたのは「涙そうそう」。作詞が森山さんでBEGINが曲をつけた名曲。
 続けて反戦メッセージが込められた大作「さとうきび畑」を歌った。3曲目は「When the saints go marchin' in(聖者の行進」」で、森山さんはかろやかな動きでご機嫌なスイングを聞かせてくれた。
 ここで特別出演のきたやまおさむさんが現れた。
 ここからは加藤さんが遺した楽曲を新しい歌からさかのぼっていった。
 まずはクミコさんが、竹内まりやさんに加藤さんが作った「ドリーム・オブ・ユー レモンライムの青い風」を歌った。岡崎友紀さんは自分が歌った加藤ナンバー「ドゥ・ユー・リメンバー・ミー」。

竹内まりや「ドリーム・オブ・ユー レモンライムの青い風」


 もう一人加藤さんとゆかりが深い方、すなわち松山猛さんをステージ上に迎えた。加藤さんは唯一無二の存在といわれるが、松山さんは「加藤君は加藤ママの作品だと思いました。彼の趣味に対して理解があって、初めて会った時マーチンのギターを持っていたんです」と回想した。
 ここでサディステック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」を尾崎亜美さんと白鳥英美子さんの二人で歌った。
 再び男性ボーカル4人組のLe Velvetsが現れて加藤さんが作ったCM曲「家をつくるなら」(1973)を歌った。続けてトワ・エ・モワが歌ったのは1970年の歌「初恋の人に似ている」。
 きたやまさんが一言「ぼくは初恋の人は母だと思うんですよ」。
 イルカが返して「さすが、先生」。
 そう、きたやまさんは精神科医なのである。

歌詞・五木寛之の「青年は荒野をめざす」
 歌に戻ってベッツイ・アンド・クリスをイルカさんと尾崎亜美さんの二人で、歌うは「白い色は恋人の色」だった。
 次はイルカさんによる「日本の幸福(しあわせ)」(1969)だった。
 小説家の五木寛之さんが歌詞を書いてくれた作品「青年は荒野をめざす」をタブ純さんが歌った。
 フォーククルセダースが第二弾シングルとして考えていた「イムジン河」が政治的配慮によってお蔵入りとなって代わりに出されたのが「悲しくてやりきれない」(1968)。加藤さんはあっという間に書き上げたという。
 これを森山良子さんが歌った。
 そしてフォークルのデビュー曲にして300万枚超売り上げた大ヒット「帰って来たヨッパライ」だ。
 きたやまさんは「私たちは口パクでデビューしたんです」と話して、この歌の「ボーカル」をできるのはこの人しかいないとして指名したのはタブ純さん。きたやまさんは木魚とセリフを担当した。

フォーク・クルセダーズ「帰って来たヨッパライ」


 この作品を歌い終わるときたやまさんは盟友加藤和彦への「追悼の辞を述べさせてもらおうと思います」。
 「あいつが亡くなったのは2009年10月16日」
 「駆けつけました。スタジオのような地下室があって、もぬけの空で、片づけられていて、テープ、レコード、楽器といったもの全てがすっかり、すっきり無くなっていて、(加藤は)死にたいとか言っていて(私たちは)なんとかならないかってみんな考えていたが、着々とみんなと顔を合わせながら進めていたんですね、準備を」
 「スタジオは彼にとって聖地です。そこに一枚の写真が遺されていました。1967年10月1日、第一次フォーク・クルセダーズー平沼義男ときたやまおさむと加藤和彦。アマチュア時代最後の写真だった」
 「このメッセージは明らかです。ぼくが最初に駆けつけるのは読んでいたと思う。つまり「帰って来たヨッパライ」がヒットする前の無邪気な遊びに満ち満ちている」
 「同じ時間帯のもう一回歌ってくれというアンコールの写真が私の部屋に飾ってある。勤労会館だった」
 きたやまさんの追悼の辞は続いた。
 話し終えると大きな拍手が起こった。
 ここで出演者が全員ステージに揃った。「あの頃と世界はあまりかわっていないのかもしれない」として1968年の「イムジン河」をみなで歌った。きたやまさんが歌詞を加えた2020年バージョンだ。
 最後の最後は「あの素晴らしい愛をもう一度」だった。

加藤和彦、北山修「あの素晴らしい愛をもう一度」

 最後、ステージを去る時にタブ純さんは上柳さんにキスをした。
 上柳さんは「明日朝4時半からですが、頑張れます」。

出演者一同(Le Velvets日野さんのXより)


 

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