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地獄の十王勢ぞろい

 静嘉堂@丸の内(東京都千代田区丸の内2-1-1明治生命館1階)では9月24日(日)まで「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろいー」を開催中。国宝1件、重文2件、重美5件で仏教美術ファンをお待ちしている。
 人が現生を離れ、冥界に行くと、閻魔大王など10人の大王がいて、在業を裁く考えられている。そのため、亡くなった方の縁者が十王を供養することによって、その極楽往生を祈って来た。
 静嘉堂文庫美術館所蔵品の「十王図・二使者図」(中国・元~明時代)は圧倒的なエネルギーに満ち、地獄に出向いて救済をする「地獄菩薩十王図」(高麗時代)と一具で伝来してきた名品である。

重要美術品 「地獄菩薩十王図」 高麗時代(14世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵


 あわせて、近年修復を終えた、日本、中国の仏教絵画などを修理後初公開している。また、江戸絵画の名品、円山応挙筆「江口君図」を重要文化財「普賢菩薩像」、重要文化財「西行物語」とともに展示している。

重要文化財 「普賢菩薩像」 鎌倉時代(13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

第1章「極楽浄土への招待」ー中国・南宋から元時代、朝鮮半島では高麗時代、日本では鎌倉時代から南北朝時代という、13-14世紀の東アジアにおける、釈迦如来、阿弥陀如来、そして観音菩薩らにより、極楽浄土を案内する。

重要美術品 「如意輪観音像」 南北朝時代(14世紀)静嘉堂文庫美術館蔵


第2章「地獄の十王ここにあり」ー「十王図」は、中国の民間信仰と仏教信仰の混合から生まれた《預修十王生七経》などの偽経を出典とするもの。中国では宋時代以後、日本でも鎌倉時代以後、浄土教信仰の盛行とともに描かれた。本作は13世紀の名品。出向いて亡者を救済する地蔵菩薩と、裁きをする十王、十王の足元にはそれぞれ細密かつエネルギーに満ちた色彩と形で裁きの様子や地獄の獄卒らが描かれている。

 重要美術品 「十王図・二使者図」のうち「第五 閻羅王」 元~明時代(14世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵
 重要美術品 「十王図・二使者図」のうち「第六 変成王」 元~明時代(14世紀)静嘉堂文庫美術館蔵
重要美術品 「地獄菩薩十王図」 高麗時代(14世紀)静嘉堂文庫美術館蔵


〇第3章「昇天した遊女ー円山応挙筆「江口君図」の謎に迫る」ー大阪・江口の遊女の亡霊が、西行と歌を詠み交わし、普賢菩薩と化したという謡曲「江口」の話に取材した作品である。白象に乗る遊女を普賢菩薩に見立てて、いわば普賢菩薩の見立絵(やつし絵)でもある。幽霊画の名手ともいわれる応挙の写実の真骨頂は、あえて江口君を生身の美人として描かず、菩薩としての優美な姿に昇華させたところにあるだろう。

  重要美術品 円山応挙筆 「江口君図」 寛政6年(1794)静嘉堂文庫美術館蔵



 開館時間は午前10時から午後5時(金曜日は午後6時閉館)。入館は閉館時間の30分前まで。休館日は月曜日、9月19日(火)。ただし、9月18日(月・祝)は開館。入館料は一般1500円、大高生1000円、中学生以下無料。問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)。ホームページはhttps://www.seikado.or.jp/


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