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3.6原子力規制委会合

 2024年3月6日(水)に行われた原子力規制委員会の会合では、昨年1月に発生した日本原燃の再処理工場で全ての灯りが消えてしまったことに関して今年2月に同社から再提出された対策に関する報告書が議論され、数々の注文が相次いだ。
 石渡明委員からは「核兵器を持たない国で原子力の再処理が認められているのは日本だけで、その施設における保障措置によって転用がないことを証明してもらうことは非常に重要」との基本について発言があった。
 2023年1月28日、原燃再処理工場(青森県六ケ所村)の前処理建屋で、保障措置上の監視対象区域で約2時間、内部照明が全て消えた。
 同3月22日に原子力規制委員会は原燃から報告を受けたが不十分だとして突き返し、再提出を求めていた。今年2月2日、原燃から再び報告書が提出されたところだった。
 問題の施設の電源の給電系統は2つあって、そのうちの1つの電球がすべて切れていた。ここの照明は単に作業エリアを照らすのみならず、査察用カメラの照明としても使用しているから特に問題となった。
 もう1つの給電のための系統から電気を取ればよかったが「照明用分電盤の遮断機を「切」としたため・・・照明が全消灯に至った」。

青森県六ケ所村の核再処理施設


 報告書では「核物質管理課の責任欠如」「核物質管理課と関係部署の連携の欠如」などが問題点として挙げられ、背景としては「保障措置に関する認識の低さ」が挙げられた。
 具体的には「トップマネジメントの関与の不足」「関連協力会社社員らへの保障措置の重要性について理解させるための活動が不足」「社員および関連協力会社社員の保障措置に対する認識不足」が指摘された。
 原子力規制庁は「単に連絡をしただけではだめで、国際約束、義務であるという認識が足りなかった・・・義務としての保障措置なので、立ち入り検査等で確認していきたい」とのコメントがあった。
 田中知委員から「認識の低さをどうしていくのか」との疑問が呈され、規制庁は「教育というところが重要。原燃との面談を通じて意識づけをしていくことを確認しているところ」との答えがあった。
 杉山智之委員からも今回の事象は「全消灯というだけでなく、(問題にすべきことの)ベースは、核セキュリティも含めてすべての保障活動に関するものだ」との認識が表明された。
 「再処理組織は他のプラントと違って、保障措置は極めて重要な意味を持っている。ものすごく大きな問題である。社長と直接話をして、その意識を問いたいと思う」と杉山委員は話した。
 山中伸介委員長からはどのようにしてトップマネジメントを効果的にしていったらいいのかという疑問も出された。
 日本原燃のホームページによると、原発の使用済み燃料から再利用出来るウランとプルトニウムを取り出すシステムが「再処理」。ウラン燃料は3-5年使うことが出来て、さらに再処理することで繰り返しの使用が可能。
 「再処理により回収したウランやプルトニウムを軽水炉で利用することにより1~2割のウラン資源節約効果が得られ、さらに将来的にプルトニウムの転換効率に優れた高速増殖炉でプルトニウムを利用することができれば、利用効率は格段に向上すると期待されています」と原燃はいうが、今のところ「絵に書いた餅」のままだ。


 

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