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藤田嗣治の愛しきもの

 個人所有の藤田嗣治作品のみを展示する目的で建てられた軽井沢安東美術館(長野県北佐久郡軽井沢町東43-10)がオープンして2年となる。
 開館2周年記念特別企画「藤田嗣治の愛しきものたち」が2024年9月27日(金)から2025年2月18日(火)まで開かれる。
 藤田が描いたのは、彼に寄り添い、癒しとなったものたち、また彼が愛し慈しんだ身近な存在だった。
 例えば、裸婦像には藤田と深い友情で繋がっていたキキや三番目の妻ユキが多く登場し、四番目の妻マドレーヌは藤田が好んで幾度も描いた女性だ。
 藤田が描く机上の画には、彼が愛用したであろうインクやレターセット、都会やメガネなどが描き込まれた。

藤田嗣治 自筆の手帳(1939年9月~1940年4月)



 聖母子や子どもを多く描くようになったのは戦争責任をめぐる問題で傷つき、日本を飛び出した後のこと。
 その後、日本に戻ることがなかった藤田は1955年にフランス国籍を取得、1959年にはカトリックへと改宗する。
 宗教画をモチーフとした作品を多く手がける一方、子どもがいなかった藤田は「一番愛したい子供」として想像上の子どもの姿をキャンバスに描いていった。そしていうまでもなく、猫は常に彼のそばにいた存在だった。
 本展のメイン画像は1928年に制作された自画像で初公開作品。この作品を中心にしてさまざまな自画像を紹介する。
 また、現在の所蔵作品はおよそ200点だが、本展ではできるだけ多くの作品を展示する。色鮮やかな壁に所狭しと飾られた藤田嗣治だけの作品。これだけ贅沢に藤田のアートを鑑賞出来るのは同館のみだ。

君代に寄り添う藤田 ヴィリエ・ル・バクルの自宅内にて 軽井沢安東美術館蔵


 開館時間は午前10時から午後5時(入館は午後4時半まで)。休館日は水曜日(祝日の場合は翌平日)、2024年12月31日、2025年1月1日、1月20日、1月21日。
 観覧料は一般2300円、高校生以下1100円、未就学児無料。
 問い合わせは℡0267-42-1230。軽井沢安東美術館の公式サイトは https://www.musee.ando.com

 軽井沢安東美術館展示風景
軽井沢安東美術館外観

(冒頭の写真は:藤田と君代夫人 ヴィリエ・ル・バクルの自宅庭にて 軽井沢安東美術館蔵)


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