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ホール&ラングレン

 ダリル・ホール&ジョン・オーツ。ソウルフルな歌声で1980年代にヒット曲を連発した。ちょうど高校・大学時代だった私はよく聞いていた。いや、正確にいえば自然と耳に入ってきていたといったほうがいいだろう。
 青春時代のBGMとして、その時代の友人たちの顔や声とともに記憶に刻まれている。そのダリル・ホールが日本公演を開いた。
 それも通好みのマルチアーティストのトッド・ラングレンと一緒にだ。ホール&オーツならぬホール&ラングレンというわけだ。
 2023年11月23日(木・祝)に東京ガーデンシアターで行われた「Daryl Hall with special guest Todd Rungren」を観てきた。事実上の前座はコーネリアス(小山田圭吾 )が務めた。
 第1部がコーネリアス、第2部がトッド・ラングレン、第3部がダリル・ホールだった。ここでは第3部と第2部をレポートする。

ポール・ヤングの大ヒット曲を本家が
 午後7時30分過ぎ、会場が暗転して明るいステージにギターを持ってダリル・ホールが現れた。大きな拍手が起こった。
 ステージの後ろに青い背景に白く「Daryl's House」の文字と家の絵。それ背にして「Foolish Pride」など2曲が演奏された後、おなじみのヒット曲が登場した。「Out of Touch」(84)だ。
 続けてこれまたヒットナンバー「Say it isn't so」(83)で、サックス・プレイヤーのチャーリー・デシャントが間奏の際に前に出てプレイした。
 この日のハイライトともいえるのが「Everytime you go away」だった。ダリルは「ポール・ヤングが歌っているけど、もともとは俺の曲なんだ」と言ってキーボードでソウルフルに歌い上げた。
 この曲はホール・アンド・オーツの81年の『モダン・ヴォイス(Voices)』に収録された隠れた名曲だったのを、ポール・ヤングが目をつけてカバーし、およそ4年後に全米1位、全英4位の大ヒットにした。

「Voices」(1981)


 さてコンサートだが、人気曲が続いた。「Wait for me」(79)「Sara Smile」(76)や「I can't go for that」(82)と言った作品だ。
 そして、フィラデルフィア近郊の生まれ育ちのダリルにとっては特別な曲である「I'm in a Philly Mood」を披露した。
 アンコールとなって、バンドメンバーを紹介ーサックス奏者デシャント、ギター&コーラスがシェイン・テリオット、ドラマーがブライアン・ダン 、ベースおよびコーラスがクライド・ジョーンズ 、パーカッション奏者ポーター・キャロル、キーボード奏者グレッグ・メイヨー 。
 締めくくりの曲は全米ナンバー・ワン・ソングの「Private Eyes」(82)だった。ダリルが歌い始めると、会場のボルテージが一気に上がり、多くの人は立ち上がって一緒に歌った。約1時間半のダリルのステージだった。

「Private Eyes」(1982)


 第2部はトッド・ラングレンのステージだった。多くの楽器を弾きこなし、音楽制作にも技術的側面からも携わるなどマルチな才能で知られる「奇人」である。一時、ジョン・レノンと論争したことがある。同じビートルズでもリンゴ・スターとは彼のバンドのツアーに参加したことがある。
 トッドのステージが始まる前に会場で流されていた音楽の中にポール・マッカートニー率いるウィングスの「Arrow through me」があった。

「Something/Anything?」(1972)


 さて、トッドのライブは「I saw the light」や「Hello it's me」など代表曲がリストに入っており、観客も満足な様子だった。
 終始、ステージを左右に軽やかな足取りで走り回り、歌声も力強く、トッド・ラングレン健在を印象づけた。およそ1時間のステージだった。
 
 


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