村上隆もののけ京都
現代美術の最先端を走る村上隆のおよそ170点が集結する大規模個展「村上隆 もののけ京都」が京都市京セラ美術館で2024年2月3日(土)から9月1日(日)まで開催されることになった。
これは同美術館開館90周年を記念しての展覧会だ。
海外を中心に活躍してきた村上にとって、国内では約8年ぶり、東京以外では初めての大規模個展となる。
かつて村上が企画した展覧会「スーパーフラット(Superflat)」は200-2001年に日本とアメリカを巡回した。展覧会とともに発表された「スーパーフラット宣言」は、現代美術シーンに大きな影響を及ぼした。
その考え方は、日本の伝統的な絵画表現とアニメや漫画、ゲームに代表される大衆文化を結びつけ、戦前から戦後の日本人の感性のありようや社会の様相、さらには資本主義経済や政治、宗教をもフラットに捉えるもの。
村上はあらゆる手法を用いて創作活動全体にその考えを取り込むことで、多種多様な作品を生み、アートの価値や本質的な意味を問いかけてきた。
村上が活動初期から深い関心を寄せてきた江戸時代の絵師たちが活躍し、今なお、あらゆる芸能と芸術が息づき交わるここ京都を舞台に、新たに描きおろした超大作をはじめ、代表的なシリーズ、国内初公開となる作品など、大多数が新作となる約170点で構成される。
超大作とは全長12メートルにも及ぶ現代の「洛中洛外図」ともいえる作品。神社仏閣、祭りや遊里、歌舞伎や浄瑠璃に興じる人々など、京都のさまざまなシーンが描かれた岩佐又兵衛の「洛中洛外図屏風(舟木本)」(江戸時代・17世紀)を引用して村上が描いた。
また、村上が衝撃を受けたという曽我蕭白《雲龍図》(18世紀)に挑んだ、全長18メートルにおよぶ《雲龍赤変図》を国内初公開する。さらに「琳派」を代表する俵屋宗達《風神雷神図屏風》(国宝・17世紀)の村上版新作は意表を突かれるユーモラスな作品だ。
東西南北を山や川、池などに囲まれ、それらを象徴する四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)の怪獣に護られた理想の地とされた平安京。
本展ではこの神獣をモチーフとした新作が四方を囲む村上版「平安京」が出現する。中央には鐘楼《六角螺旋堂》がそびえ、「もののけ」が彷徨う不穏な気配を払ってくれる。
1994年に初登場した村上の代表的キャラクター「DOB君」。マンガやゲームのキャラクターをモチーフとするDOB君は、変幻自在に姿を変え、様々な文脈に接続してきた。モンスター化した「たんたん坊」、村上の自画像かつその極限の姿「ゲロタン」、そしてまた「DOB君」へ。
村上のスーパーフラットの概念を体現してきたDOB君の往還を辿りつつ、本展でお目見えするシェイブド・キャンパスによる新たなキャラクターたち。そして村上のアニメ作品やトレーディングカードといったポピュラーカルチャーに言及した新作の数々は現代の「もののけ」なのか?
開館時間は午前10時から午後6時(最終入場は午後5時半まで)。休館日は月曜日(祝日の場合は開館)。観覧料は一般2200円、大学・専門学校生1500円、高校生1000円、中学生以下無料。
前売り発売は2024年1月5日(金)午前10時より。
公式サイトは https://takashimurakami-kyoto.exhibit.jp
問い合わせは075-771-4334(京都市京セラ美術館)。
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