虹の橋🌈を渡った愛犬くうと私の後悔vol.4

いざ子宮摘出手術

診断を受けてから一週間。

子宮水腫を調べれば調べるほど、怖い病気だということが分かってきました。

くうは以前から、腰が痛そうに背中を伸ばすしぐさをしていました。

この体勢をすることが増えていました。

それについて他の病院で聞いたことがあったのですが、クセかなぁ、と言われそのままになっていましたが、どうやら子宮水腫も腰痛も伴うようでした。

もしかしたら、この頃から症状は出ていたのかもしれません。

もっと早く分かっていれば、しっかりとした検査を受けていれば、と私の後悔の一つになっています。

クセ、、。ではなかったのでしょう。きっと。

今の病院の先生の説明からすると、溜まった水が膿みはじめると、いよいよ命の危険が差し迫り、ある日突然「ギャン」と鳴いて永遠のお別れをすることになると聞き、危険な状態であることを理解することが出来ました。

怖い病気だ。そんな別れは絶対にしたくない。

ただ直近の問題は、くうが手術に耐えうるかということでした。

血液検査の結果、両病院ともに見解は一致していて、貧血がひどいため手術に踏み切ることにリスクがあると、説明されていました。

とても難しい選択を迫られることになったのですが、ある日突然のお別れの可能性を聞いてしまった以上放置することは、最も出来ない選択になっていました。

「お願いします。」

この病院にお任せすることに決めました。

とても親身にお話を聞いてくれて、誠実に丁寧に診察してくれている、と私が感じたからです。

3月12日子宮卵巣摘出手術。

その後に腸の治療に取り掛かる。

先生は「たんぱく質漏出性腸炎」という病気の可能性が高いと判断しているようでした。

その病気の治療には、ステロイド剤を使わなくてはいけないため、それによって免疫力が下がると子宮水腫が悪化し重篤な状態になる恐れがあるため、まずは子宮の手術を先行させる。

色々な説明を聞いた上で、これが最善の方法だと、私も納得すること出来ました。

くうの命を残り僅かになんてさせられません。

頑張ろう、くう。

手術は10日後。

手術前日、弟のぽんたと。

手術当日待合室にて。

3月12日、手術当日。

朝9時に病院に連れていき、お昼ごろに手術を行うとのことでした。

人間と同じで朝からお水、ご飯はあげずに来院。

ここのところ病院通いが続いていたので、いつもの診察だと思っているようで、くうはリラックスしていました。

でも、朝から大好きなご飯をもらえず、お腹を空かせていたでしょうね。

無事に手術が終わると、夕方には面会出来るとのことでした。

何も状況を分かっていないくうを看護婦さんに託し、祈るような気持ちで一旦帰宅。

貧血のせいで手術中に命を落とすなんてことにならないだろうか、腸に腫瘍が見つかった、なんてことになったら、不安ばかりよぎる時間。

ぽんたを抱きしめながら、無事に手術が終わることを祈っていました。

それでも、居ても立っても居られず、午後の診療開始が待ちきれず駐車場で40分近く時間を潰し、せっかちぶりを発揮してしまいました。

トップバッターで呼ばれて診察室に入ると、くうはそこに居ませんでした。

診察台の上には、摘出した子宮が置いてありました。

「これを見てほしくて、このままにして置いておきました」

執刀した先生が、メスで子宮に少し切り込みを入れると、かなりの量の濁った水が溢れて出てきたのです。

驚愕しました。

通常は0.5ｃｍ程度の太さで７～８ｃｍ程の長さだそうです。
くうの子宮を写真にして先生が渡してくれました。
気分害された方すみません。
子宮水腫の怖さを伝えたくてあえて載せることにしました。

手術を受けさせて本当に良かった、とこの子宮を見た時に真っ先に思いました。

あってはいけない水で膨らんでいたなんて。破裂寸前と言われても納得がいく。

溢れ出た水は化膿していなかったらしいですが、一歩手前だったと言われ、顔が青ざめるような話ばかりの診察室。

そんな時、

「くうちゃん、そっちじゃないよー」

看護婦さんの声が聞こえました。

声のするほうに目を向けると、まっすぐ前を向いて私達のいる診察室を通り過ぎようとする、ヨタヨタと歩くくうの姿が。

「くう、こっちだよっ」

私と娘で2人同時に声を出しました。

私達に気付き、転びながら振り向き懸命に走ろうとして、また転ぶくう。

聞いたことのないような声を上げながら、必死に私達に近づいてくる。

必死、懸命、この言葉がピッタリの姿でした。

抱き上げてもしばらく落ち着くことが出来ず、苦しかったこと、怖かったことを説明するかのように鳴いていました。

術後ですぐに歩けることに驚きました。

麻酔のせいで、ぼんやりとした表情のくう。

なんとも言いがたい、見たことのないくうの様子でした。

「頑張ったね、偉かったね、痛かったね」

そんな声をかけ撫でてあげながら、私達も堪らず涙が溢れてしまいました。

お腹を見ると痛々しい傷跡があり、また涙が止まらなくなってしまいました。

この写真は翌日のお腹の様子。

実は、私自身も4年前に子宮筋腫によって子宮卵巣摘出手術を受けていました。

この傷を見た時に真っ先に感じたことは、犬ってスゴイなぁっ、ということでした。

私は手術を受けたその夜、地獄の中にいるような痛みと朦朧とした意識、発熱からくる意識混濁、そんな状況で過ごしていたからです。それはそれは悪夢のような夜でした。

フラフラしながらくうが歩いてきた時に驚いたのは、そんな自分の様子との違いからでした。

まだ意識が戻るか戻らないかの、寝たきりのくうに対面するものだと思っていました。

この子達は、本当に強く健気な生き物だ。

とにかく無事に終わって良かった。

感動の再会を果たせた私達に、先生は嬉しい報告をしてくれました。

「見れる範囲ではありましたが、腸に腫瘍は見つかりませでしたよ」

ホッとしました。

これで腸炎の治療をしていけば、すぐに命を落とすことはなくなった、そう思ったから。

頑張って良かったね、くう。

術後の入院は一週間。

入院生活は初めてのくうです。

お別れはツラいけど、くうが元気になるためだと自分に言い聞かせ、看護婦さんにくうを渡し診察室をあとにしました。

その時の驚いたような顔をしたくうの表情が、今だに目に焼きついて忘れられません。

一緒に帰ると思ったよね。ごめんね。

お見舞い来るからね。帰ったら美味しいもの食べようね。

この入院が長引くこと、くうが美味しいものをムシャムシャ食べる姿をもう見れないこと、何も分かっていない私達は、この時は少なくとも安堵しながら帰宅したのです。

                                                 vol.5につづく