夜さんぽ
同じ肉まんを同じ制服で持って。
この世界で二人だけにしか分からない世界を
二人だけで簡単に作って笑いながら過ぎていく女子高生。
小さな犬のリードを持って。
小さな犬より一歩遅れて全身で走る飼い主はきっとあの犬に前向きに生かされてる。
街で借りる小さな自転車。
大きいはずの大人二人がまるで少年のままタイヤで芝生の上を駆ける。
たった一人で大きなポテトチップスを袋で。
制服を着てるあの子にはきっと何をもっても勝てない。
空にした缶コーヒーに吸い殻を。
戻っても進んでも動かない記憶と重ねてほんの少しだけ笑う。
さっきよりも耳に入る笑い声は数を増やす。
仲間はずれみたいな夜でもひとりぼっちじゃない。
最後に。
小さな小さな紙袋が繋いだ手と反対側でダンスする二人。
さっきまでと同じはずの空気を、それでもやっぱり冷たいと感じ始めたら、腰を上げる。
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