台風19号と正常性バイアス

めちゃくちゃ強い台風19号があちこちに打撃を与えていった。テレビを見てないのだがネット上で確認できる情報だけでも被害の大きさに心が痛む。

多摩川のわりと近くに住むようになって2年目になる。

うちの近所の多摩川は、大きな公園とかバーベキュー場があるわけでもなく、そんなに人がいるわけでもなく、穏やかな気分になりたい時にはよく行ってて
日常生活の風景の一部になっていた。

結局のところ今回の台風では、この写真に写っている陸地は全て水に飲まれていて、あと1メートルくらい水位が高くなってたら氾濫していたのだった。

そして同じ多摩川沿いでは実際氾濫も起きていたし、反対側の川崎市にも被害があった。
ほんとうに、すんでのところで難を逃れた形になる。

この日は昼から夜にかけてスマホの緊急速報が鳴りまくっていた。

避難勧告が避難指示になり、警戒レベルは5まで上がって、心配してくれた友人知人から連絡が来たりしていて、防災無線から無機質に怖いアナウンスが流れて、消防車のサイレンが近所に響き渡っていて、暴風雨が窓をガタガタ揺らしていたのだが
そんな中、自分は「うちは大丈夫だろう」という根拠のない楽観に避難もせず、悠長に構えていて、さんざん言われていた命を守る行動についても考えず、いつも通りに寝ていた。

これがいわゆる「正常性バイアス」なんだなと翌日になって気がついた。

「正常性バイアス」とは、水害、地震、津波、火災などの危険が目の前に迫っていても、日常生活の延長線上の出来事だと判断し、「自分は大丈夫」「まだ安全」などと思い込んでしまう人間の心理的な傾向を指す。

なにをもって自分は大丈夫だって思っていたんだろう。
我が家は二階にある。二階だから大丈夫。
なんかそんな気持ちだったんだと思う。
でも二階でも安全って話ではなかったのだ。

台風が来る前に自治体の水害ハザードマップを調べた。
もし川が氾濫したら我が家は3メートル以上浸水する可能性がある、というのを知った。
これって二階超えてるんですよね。

ついでに言うと我が家の場所はマップで見たらピンポイントで「家屋倒壊等氾濫想定区域」に該当していた。実際に氾濫が起きて氾濫流が直撃したら家が倒壊することが想定されている、という区域。

もう「二階だから大丈夫」なんて言える話ではなかった。家にいても安全ではなかった。
それを事前に調べていたのに、いざとなると大丈夫だろうと思い込んでしまう。

正常性バイアスってほんとに怖いですね。

おわり。

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