バレンタインデーの想い出

中学生の時の話です。

バレンタインデーのお買い物に
お友達とチョコを買いに行きました。

ハート形の大きな板チョコみたいなやつに
しました。20㎝くらいの正方形の白い箱に
入っていました。

バレンタインデー当日は、学校のある日
でした。帰りの会の直前に、情報を
仕入れた男子学生が教室に入ってきて
みんなにこう言うのです。

「抜き打ち検査があるらしい！」と。
持ち物検査です。他のクラスで始まって
いたのを聞きつけたみたいでした。

クラスはざわめきました。

学校で食べるわけではなく、渡すだけ
なので、それが持ち物として所持していては
いけないかどうかは今日わかることでした。

一緒に買いに行ってくれたお友達は
私が白い箱を持って来ていることを
知っています。

頼もしい彼女は、慌てた様子で
私にこう言いました。
「ゆきちゃん、アレかしてっ！！」と。
私はオロオロとしながら、カバンの中から
白い箱を取り出し彼女に渡しました。

私のいる席は窓側から2列目。
クラス40人の教室です。

彼女は6mくらいは離れていたであろう
廊下側の壁に向かって、私のハート形の
チョコを、ありったけの力で投げつけ、
白い箱に入ったチョコは壁にぶち当たり、
下にあった掃除道具の入っている
ゴミ箱同然の汚い木箱にすっぽりと
落ちました。

衝撃的…。

頭の中が真っ白になりました。
次の瞬間、ガラッとドアが開き、
先生が入って来ました。

間一髪…。

持ち物検査の間中、私は
「あのチョコは割れてないか⁉︎」
「割れたハート形のチョコって怖くない？」
ということで頭がいっぱいでした。

持ち物検査は無事に終了し、帰りの会が
終わってから、私は木箱に落ちたチョコを
拾いに行きました。

あれだけの衝撃を受けた白い箱は、
少し傷んだように見えました。

後には引けませんので、予定通り
当時仲良くしている子にそれを渡し、
ホワイトデーにはクッキーをもらって
物々交換をしただけという感じでした。
日頃のお礼みたいな、お中元お歳暮感覚です。
大人になった今では、バレンタインデーといえば
チョコレートの何かを食べる日となっています。

これが私のバレンタインデーの想い出です。

🌟🌟🌟🌟🌟

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堀田ゆき