『週刊ブレックス⑧』比江島スイッチの発動条件

「あの子は泣かないとスイッチが入らない」
比江島さんの亡きお母様の言葉です。

これは彼が小学生時代の言葉なのですが、この言葉からも分かるように、昔から彼のスイッチの発動条件があったようです。

パリ五輪でこのスイッチが押されることを願うべく、今回は比江島スイッチの発動条件について探ります。2500文字ほど(約5〜6分)で読めるボリュームになります。

(参考記事)


○比江島スイッチとは?

ついに今夜日本代表はパリ五輪の初戦を迎えますが、目標のベスト8のためにはドイツ・フランス・ブラジルに最低1勝する必要があります。
そのために必要な要素の一つが『比江島スイッチの発動』です。彼の活躍は必須かと思います。

ちなみに比江島スイッチとは『彼が誰にも止められない無双状態になる試合』を指したいと思います。
ただ大前提ですが、このスイッチの押し方は誰も知りません。さらに本人もよく分かっておらず、そして発動する試合は年に数回です。
それらを踏まえて、まず過去の比江島スイッチが発動された試合を振り返ります。

○最近、比江島スイッチが発動された試合
1、昨年のW杯ベネズエラ戦
2、Bリーグ21-22年シーズンのCS決勝

下記にそれぞれのハイライト置いておきます。


早速ですが、この2試合の共通点はこちら。
①「初」を狙う状況である。
②彼がファーストオプションである。
③信頼してくれたHCへの恩。

1つずつ話します。

①「初」を狙う状況である。
昨年のW杯は彼自身にとって「初」の五輪自力出場がかかる大会、そしてCS決勝は彼のブレックスでの「初」の優勝がかかる舞台でした。

代表では19年W杯と東京五輪で全敗、ブレックスでは前年に自らのファールアウトもあり決勝で敗退という経験をしています。2試合ともにその悔しさを背負って「初」を狙う状況でした。

つまり悔しさを乗り越えた「初」を狙う舞台が、彼の気持ちを奮い立たせるのかもしれません。ますこれが一つ目の条件です。


②彼がファーストオプションである

ファーストオプションとは、オフェンスで最優先される選手を指します。つまり、その試合において1番に信頼される選手です。
上記の2試合ともに彼がファーストオプションだった試合であり、比江島スイッチの発動条件にはマストな選択肢となります。

ブレックスのシーズン優勝後に、鵤誠司さんがインタビューでこんなことを言っていました。

鵤『比江島が自分をエースだと勘違いしちゃったのかな。比江島が俺にボールをよこせよこせってなって、それが良い方向に向かってくれたからよかったですね』と。

彼が先輩を呼び捨てにしていることはさておき、この状況こそ比江島スイッチが発動している状態だと言えます。彼は謙虚な選手ですので、無理にボールを欲しがる選手ではありませんし。
だからこそ、何か期するものがあり、スイッチが発動したのだと想像できます。その一つが①の「初」がかかることであり、もう一つが③で話すことになります。


③信頼してくれたHCへの恩

具体的な信頼とは、日本代表では『当落戦上にいたが、ホーバスHCが信頼して選んでくれたこと』。
ブレックスでは『安齋HCが自分を信頼してくれ、自分中心のチームを作ってくれたこと』になります。

代表では序盤の強化試合でシュートタッチが悪く、選手間の生き残り競争にさらされていました。しかし最終的に選出してくれたトムさんへの感謝の気持ちを口にしています。
ブレックスでは前年にチームの中心だったロシター(現A東京)が退団し、彼中心のバスケへ移行した年でした。当時の安齋HCの『マコは何も悪くない』という言葉は今でも語り継がれ、比江島を信頼しチームを作り上げたHCでした。

このように自分を信頼してくれたHCへの存在があり、その感謝や恩返しといった気持ちが比江島スイッチ発動へ導いた一つの要因だと考えられます。
ちなみに三河時代のインタビューでも『鈴木キミカズHCは自分をエースだと言ってくれていますし、本当に大事な場面は任せてくれているので、その期待には応えたいです』という言葉も残しており、HCへの期待に応えたい思いは一層強い選手に思えます。

○パリ五輪に当てはめてみる
パリ五輪ではスイッチが発動されるのか。
それぞれを今回の状況と比べてみます。

①「初」を狙う状況である

→日本代表は「初」のベスト8が目標。
彼自身、五輪での「初」勝利がかかります。
さらに前回の東京五輪での悔しい心情も乗っているはずです。

②彼がファーストオプションである
→これは正直、試合の状況次第になります。
今の代表には、八村・河村・富永などファーストオプションになる可能性のある選手が複数いるためです。

比江島さんがファーストオプションになる条件としては2つ。『3Pが3本以上入る』or『ドライブ(比江島ステップ)が十分に通用する』です。どちらかが達成されればチームのファーストオプションとなり、比江島スイッチ発動に近づくと考えています。

③信頼してくれたHCへの恩
最近インタビューで何度も口にしていますが、彼にとってパリ五輪は『バスケ人生の集大成』です。
そのため今回はより一層、信頼してくれたトムさんへの恩返しの気持ちは強いと考えています。またそれは、佐々AC(昨季まで在籍する宇都宮のHC)への想いもあるかもしれませんね。

さらに派生すると日本代表はもちろん、学生時代までも含めた今までの方々からの気持ちを後押しに、全てをぶつけてもらいたいです。

○まとめ
すでに①と③の条件は揃い踏みのため、発動条件は②次第となります。つまり彼が比江島スイッチを発動するためには、3Pを3本orドライブ(比江島ステップ)が通用するか否かにかかると予想します。これが起きれば仲間からの信頼と彼のコンディションがハイになり、彼が無双状態になるイメージです。

勿論、先述しましたが八村・河村・富永などファーストオプションになり得る選手は多くいますので、彼らに託す状況も十分に考えられます。しかし彼の舞台が準備されれば、無双状態に入ることが出来る選手です。日本にとっても唯一無二な存在ですので、ここぞと言う時に活躍してくれるはずです。

○最後に、本人によると
『相手が強ければ強いほど、勝手にスイッチは入るという部分はあるとは思うのですが‥』
とのこと。これは期待出来そう。


幼少期に泣きながら発動したスイッチが、日本を勝利の笑みへと導くスイッチになることを期待します。パリで代表引退を示唆する彼の最後の大舞台が始まります。
以上です。ここまでお読みいただきありがとうございます!

来週こそ『(妄想)田臥不在のブレックス』を書きたいと思います😌
よろしくお願いします!

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