10th Anniversary

 昨日、さいたまスーパーアリーナでおこなわれたイベント「Free! 10th Anniversary -Memories of Summer-」に参加してきた。

8月13日、さいたまスーパーアリーナにて

 京都アニメーションのTVアニメ『Free!』シリーズの、10周年イベントである。
 私はこのシリーズの大ファンだ。2019年以降は、映画を劇場で少なくとも5回は鑑賞している。10回観たときもある。
 もっとも、熱狂的なファンが多いシリーズだから、回数として物凄く多いというわけではないと思われる。京アニならではの緻密な映像表現は見応え抜群で、演者のお芝居も細やかな作品だから、5回観ても10回観ても、都度発見があるのだ。

 2013年に第1期の放送が始まったこのシリーズ、私はたしか2014年頃からのファンだ。当初はテレビシリーズを観るだけのライトなファンで、2015年12月に封切られた劇場版も、リアルタイムでは見逃していた。
 ところが、2018年に放送されたアニメ第3期『Free! -Dive to the Future-』から、私は一気にこのシリーズの熱狂的ファンに転じた。テレビシリーズでは3期から登場する桐嶋郁弥くんという登場人物に、どうしようもないほど強く惹かれてしまったのだ。

昨日のイベント終演後の写真。彼が桐嶋郁弥くんです。

 郁弥くんは先述の、2015年の映画から登場したキャラクターだ。それから2018年までの間に総集編映画とか、とにかく色々あったのだが、私はそのすべてに追いつく決心をした。
 見逃していた映画や総集編の映像ディスクを買い集め、ドラマCDを買い、サントラを買い、公式ファンブックや設定集を買い、郁弥くん中心にキャラクターグッズも買い集め……。
 さらにリアルタイムで発売していた3期の関連商品を買い、版権イラストが表紙を飾るアニメ雑誌はすべて買い、飲食店とコラボすれば特典クリアファイル欲しさにコラボメニューを食べ……と、2018年だけでものすごいお金の使い方をしてしまった。

 それから今に至るまで、もう語れば書籍1冊分くらいの分量になりそうなほど、私のオタク人生は『Free!』シリーズとともにあった。
 当初の「熱狂」は落ち着いてきて、お金も計画的に使うようにはなったけれど、作品とキャラクターへの愛情は薄らぐことがない。

『Free!』シリーズは、昨年公開された映画『劇場版Free! -the Final Stroke- 後編』で、ひと区切りがついた。
 もしかしたら最後かもしれないこのイベント、どうしても参戦しないわけにはいかぬという次第で、祈るような気持ちで応募した。
 結果、めでたく当選の運びとなったが、さいたまスーパーアリーナはものすごいキャパだから、奇跡的な確率というわけでもなかった。
 それでも、昨日のあの場にいられたことには、なんだか信じがたいような幸福感があった。

 昨日は「昼の部」と「夜の部」の2回にわたって開催されたのだが、私は「夜の部」のみの参加だった。
(どうでもいい余談だけれど、昨日の21時にnoteを更新していたのは予約投稿機能による。アリバイトリックみたいだ)

 このシリーズを愛した人たちとともに、フィナーレの最後の最後に立ち会えた、ということがまず感動的だった。
 私はリアルイベントは今まであまり縁がなくて、せいぜいが舞台挨拶をライブビューイングで観るくらいだったのだけれど、自分の好きな作品が好きな人たちだけが集う空間にただ居ることが、あれほどの幸福感をもたらしてくれるとは。想像以上だった。
 うちわやスポーツタオルのデザインで、それぞれが誰推しかわかる。どのキャラクターも、必ず誰かに強く愛されている。
 キャラクターにはそれぞれイメージカラーがあるから、アクセサリー、服、髪などに、その色を纏っている人が多かった。
 そしてイベントが始まると、暗い客席に浮かび上がるペンライトの色もまた、それぞれの「推し」のカラーだった。本当に美しい景色だった。

 公演の内容自体についてここでは深くは触れないけれど、歌唱のほか、メインキャストによる作品の思い出語りがメインだった。
 どの演者さんも、本当に真摯に作品づくりに取り組んでいることが伝わってきて、にこにこしながら聞いていた。

 終演後、帰り道をひとりで歩きながら、幸せだったけれどふと考えこんでしまった。
 これほどの「熱狂」を与えてくれる作品に、自分はこれからの人生で、何度出会えるのだろうか、と。
 お恥ずかしい喩えになってしまうけれど、作品への熱狂はたぶん、恋にも似ているんだと思う。人生における上限回数は人によってまちまちで、その愛の深さや強さは、けっして他人にはかることはできない。あらゆるリソースを割いて情熱を傾けることが、将来的な幸福に繋がる保証はない。でも、本人にとっては、愛する対象と同じくらい、自分が抱えている愛そのものを失いたくない。そんな形の「好き」。

『Free!』という作品にだけ浸っていたい気持ちもあったけれど、細々と創作業をやらせていただいている身としては、どうしても思ってしまった。
 こんな「熱狂」を誰かの心に宿す側になりたい、と。

 だから頑張ろう、と思ったこの夜の気持ちを、ずっと忘れずにいたい。

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