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下痢で困る患者さんへの薬の影響の検討

今日は、山口くんと瀧くんと一緒にやっているオンラインサロン「Health Guild」に投稿しようと思って書き始めたのですが、この経験は広くシェアした方がいいんじゃないかと思いnoteの方に記事を投稿することにしました。
#いつものnoteと書き方が違う
#オンラインサロン記事風

オンラインサロン「Health Guild」では、この経験をもう少し掘り下げて考察した内容を投稿しようと思います。

【オンラインサロンの入会は現在受け付けておりません】

冒頭

2021年3月2日
『下痢で困る患者さんへの薬の影響の検討』
#原田の投稿

今日は、先日相談のあった患者さんの症例を検討する際の思考を文字に起こしたいと思います。
#勉強回

患者さんからの電話相談が発端

まずきっかけは先日ウルソデオキシコール酸が追加になった患者さんから薬局への電話でした。
#他にも飲んでいる薬はあります

相談内容は薬を飲み始めてから下痢がひどくて、薬を飲むのをやめた。今後どうしたらいいだろうか?という内容でした。

添付文書から情報収集

まずは、添付文書の副作用の欄をみてみてると下痢の発生頻度は多い副作用だということを知りました。頻度が多く発生している副作用ということは、薬理機序が影響している可能性があるかもしれないなと思って、作用機序をみてみると胆汁分泌を促進すると書かれていました。
#他にもウルソデオキシコール酸はいろいろ働くよ

ということは、この患者さんの体では胆汁が今たくさん分泌されるようになっているはず!
じゃあ、胆汁って分泌されたあと体でどのように働いていくのか?

胆汁の体内での動き、働きを考える

たしか、十二指腸あたりで分泌された胆汁は、脂肪の吸収を助けたりしながら小腸を流れていって、途中で胆汁トランスポーターで再吸収されて、体で再利用されるようになっていたはず!

トランスポーターの特徴といえば、能動的に物質の輸送を行うこと、飽和現象が起こることが有名どころだったことを錆びつきつつある国試の時に勉強した知識の中から思い出し、今の現状を分析すると

胆汁がいつもよりいっぱいでる→小腸が胆汁でいっぱいになる→胆汁トランスポーターが飽和して処理しきれなくなる→胆汁が大腸まで流れていってしまう

ということが起こっているんじゃないかなというを考えました。

胆汁、大腸へいく

胆汁が大腸まで流れていくとどうなるのか?

大腸には胆汁受容体というのがたしかあったはず
#知識は基本うろ覚え

胆汁受容体が刺激されると腸管運動が促進されたり、腸管内に水分が引っ張ってこられて排便を促す働きがあるはず
#グーフィスの作用機序だよ

もしも、この患者さんの体でこの一連のことが起こっているのだとすると、今の症状はウルソデオキシコール酸によって起こっている可能性が高いのではないかと推察しました!
#犯人はおまえだ
#名探偵コナンの気分
#探偵学園Qも好きでした

その後について考える

もしも、この機序で下痢が起こっているのだとすると、たぶん人の体は環境に適応していくはずなので、胆汁がいっぱいでれば腸管の胆汁トランスポーターが増設されていくはず
#はずが多い

なので、下痢の症状はこのまま継続していけばそのうち落ち着いてくるんじゃないかなということが予想できるのですが、患者さんは今まさに起こっている下痢に困っているので、今後落ち着くからでは、解決になっていない。
#未来の予測はとても大切
#でも今目の前のことも同じくらい大切

そこで今影響している可能性の高いウルソデオキシコール酸をどうするかを考えないといけないのですが、選択肢は2つに絞れるのではないかなと考えました。

1)ウルソデオキシコール酸を減量もしくは中止して経過を観察する
2)このままウルソデオキシコール酸を継続しつつ、下痢症状を対処する薬剤を服用して経過を観察

この2つの選択肢はどちらを実行するにせよ、以下の理由から医師と協働して今後の薬物治療を決定する必要があると考えて、トレーシングレポートの提出と受診勧奨を行いました。

1)は、ウルソデオキシコール酸を減量もしくは中止が実施できるかを考えるためには、服用し始めた目的となる疾患の状態を踏まえた判断が必要になるため医師の視点からの判断が必要になる
2)は、下痢症状に対処する薬を使用するとしても、一度診察を受けて薬の影響を踏まえ、診断を受けた上で対応をすることが望ましいため

ただ、患者さんはすぐに受診できる状況にはなく、ひとまずトレーシングレポートに状況をまとめて医師と受診せずに対応を判断できるかどうかも含めて検討をすることになりました。

医師と検討した結果、ウルソデオキシコール酸をひとまず減量して経過をみようということなりました。
今後は減量後の体調を確認して対応をしていこうと思っています。

と言った症例を経験したお話でした。

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