見出し画像

クラリスロマイシンの禁忌薬一覧

だんだん気温が下がってきて、すっかり秋らしい陽気になってきました。
最近は雨の日が多く冷える日があると思えば、夏日かと思うくらい暑い日が繰り返す事が多く、体調を崩される患者様が多いです。
色々な場面で使われる抗生剤で、クラリス錠というお薬があります。
小さなお子さんから、ご高齢の患者様まで多くの人に使われているお薬です。
使い勝手が良い反面、注意点も多い薬です。
なかなかややこしいので復習がてら、まとめてみようと思います。

クラリス錠について

クラリス錠(成分名:クラリスロマイシン)はマクロライド系の抗生物質です。
用途は多岐にわたり、肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。
いろいろな細菌に有効なので、呼吸器科(肺炎)や耳鼻科(咽頭炎・中耳炎)や消化器科(ピロリ除菌)や皮膚科(ニキビ・とびひ・外傷・熱傷)など多くの疾患に使われる抗生剤です。

クラリス錠の特徴

開発の経緯

クラリス錠は、エリスロマイシンという抗生剤を元に、酸に強くなるように改良されたお薬です。それにより胃酸で分解されにくくなりました。
経口吸収が良好で、血清中濃度が高く、半減期が長く、更に組織移行性も良好なお薬として開発されたお薬です。

治療学的特性

・強い抗菌力
・広い抗菌スペクトル
・胃酸に対する安定性に優れ、良好な吸収と高い血中濃度
・呼吸器系組織等へ良好に移行し、非結核性抗酸菌症にも有効
・消火器疾患、ヘリコバクター・ピロリ感染症にも有効

製剤学的特性

・販売剤型は、【成人用の錠剤】と【小児用の錠剤】
 及び【ドライシロップ製剤】がある。
・【ドライシロップ製剤】は苦みを抑える為、コーティングをしている。
 酸性飲料で服用するとコーティングが剥がれ、苦みが強く出るので注意。

用法用量

一般感染症:1回200㎎を1日2回服用。
非結核性抗酸菌症:1回400㎎1日2回服用。
(非結核性抗酸菌:結核菌に似た特徴を持つ菌、抗生剤効きにくい)
ヘリコバクター・ピロリ感染症:
1回200mg1日2回、7日間服用(+抗生剤、胃薬の3剤併用)。

副作用

一般的な副作用として
発疹、消化器症状(下痢・嘔吐など)、肝機能異常、好酸球増多などがある。

妊婦さん・授乳婦さんの服用

※お薬の評価をお伝えしているだけで、服薬に対する安全性を保障するものではありません。
病気の種類や個人によって対応は異なります。
治療を行うメリットと治療を行わないデメリットを比較・検討し
医師、薬剤師と十分に相談して服薬してください。
【妊婦さん】
妊娠時の投薬とそのリスク(オーストラリア分類):B3
【動物では障害発生の証拠あり、人に関しては不明】
妊娠と薬(第2版):
【人での催奇形の症例報告、疫学調査での関連は認められていない。
動物で催奇形性の報告がある】
妊娠と授乳(改訂2版):不明
【安全性・危険性を理論的に推定するしかない】

【授乳婦さん】

Medications and Mother's Milk(Haleのリスク分類):L1(適合)
【乳児の副作用増加報告無し。乳児への障害の可能性はうすい】
母乳とくすりハンドブック(改訂第3版):◎(安全)
【疫学情報はないが、乳児に有害事 象を及ぼさない薬】
妊娠と授乳(改訂2版):安全
【疫学的な証拠が比較的豊富でほぼ安全に使用できると思われる薬】

併用禁忌薬一覧

クラリスロマイシンは薬物代謝酵素(SYP3A)で代謝され、SYP3A4の阻害、P-糖蛋白質を阻害するため、併用禁忌となるお薬が多いです。
感冒症状や感染症で比較的使われやすいお薬なので注意が必要となります。
クラリス錠の添付文書に記載のあるお薬を表にしました。
クラリス錠の添付文書には記載がないが、相手のお薬には記載がある場合もあるので注意が必要です。

クラリスロマイシン禁忌一覧

併用注意薬

禁忌ではないけれど注意する必要があるお薬はさらにいっぱいあります。
書ききれないため、クラリス錠に記載のあったお薬を表にしました。
クラリス錠の添付文書には記載がないが、相手のお薬には記載がある場合もあるので注意が必要です。

クラリスロマイシン併用注意一覧

ほとんどが薬物代謝酵素の阻害による、相手薬剤の作用増強になります。
血液凝固系や糖尿病薬など命にかかわるお薬も多いため、使用の際は禁忌だけでなく併用注意にも言及した服薬指導ができると、一つ上の指導になる気がします。

終わりに

今回は処方頻度の多い抗生剤についてまとめてみました。
抗生剤の中でも併用薬に特に気を付ける必要がある為、まとめる事で
より知識を整理することが出た気がします。
引き続き、有意義な情報提供ができるように勉強していきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?