組織運営の技術

組織運営の技術の執行

 組織運営の技術を執行するときに考慮しなければならないことがいくつかあります。
一つ目は二重基準(Double Standard)を避けることです。
通常、基準は専門家が作成しますので、組織を運営する責任者は基準に従って判断することが求められています。基準に基づいた判断により組織が運営されることは、運営の内容が明確となって運営の質が確保されるからです。作業ごとの完了は要求基準と照らし合わせて満たしていることを確認してから次作業に移ります。要求基準を満たしていないにもかかわらず、諸般の事情を勘案し総合的判断をして次作業に移ることや、基準を判断の参考として扱って決めるのはあくまでも総合的判断によるということは、二重基準となりやすくなります。
二重基準は組織運営の公平性を損ないますので避けなければなりません。
 二つ目は利益相反(Conflict of Interest)です。
多くの場合、利益相反は一人が複数のポストを兼務することから生じます。兼務は最初のポストで白い帽子を被って次のポストで赤い帽子を被るように、一人で違う役割を演じます。白い帽子のポストと赤い帽子のポストは求められるものが違います。組織内の兼務の場合、本人にとって都合のいい色の帽子の仕事を優先することがあります。組織をまたいで兼務する場合も同様に都合のいい色の帽子の組織を優先することがあります。つまり、兼務はどちらのポストでも同じように働くことを困難にし、結果として兼務はどちらかのポストに有利に働いてしまいます。兼務について組織の責任者は熟慮しなければなりません。
三つ目は目標変更(Move Goalpost)
当初の計画に基づいて業務を執行するときに、目標達成が困難になってくることがあります。多くの場合、当初立てた仮定が想定以上にずれてくるときに起きる現象です。だからといって、組織の責任者が目標を動かしてはいけません。当初計画がどのような仮定の下に立てられていたのか、現状のずれは何がどのように想定と違ってきているのかなどの目標達成困難の理由の説明が必要です。計画と実情のずれを検証したうえで仮定の見直しを行い、その結果として目標の見直しが必要になったときは説明が欠かせません。業務の執行について全権を任されている組織の責任者と雖も、目標の変更についてフリーハンドを持つことはありません。
 四つ目は文書捏造(Fabrication)と改ざん(Falsification)です。
 組織のスタッフはどのような理由があっても文書や記録の捏造、改ざんをしてはいけません。また、組織の上司はチームメンバーに捏造、改ざんを指示してはいけません。書類が公文書であるか公的な記録であるかにかかわらず、また法律を犯すか犯さないかにかかわらず、捏造や改ざんは許される行為ではありません。書類は組織の信頼を保証するツールです。組織の責任者は組織運営の過程を正しく記録して残す義務を負っています。

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