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GOOD EAT VILLAGEで僕が描くもの

2021年11月10日、東京・代々木上原に「GOOD EAT VILLAGE」がグランドオープンします。

「GOOD EAT VILLAGE」は、日本中の「愛すべき食」が集まるコミュニティ型EC「GOOD EAT CLUB」のリアル拠点であり、”おいしい”から未来を作るライフハブです。生産者、料理人、研究者、そして僕みたいなただの食いしん坊。食を愛するみんなが集って、新たな化学反応が起こる。そして、オンラインとオフラインが行き来しながら融合し、コミュニティが創造されていく。そんな拠点にしたいと思っています。

本日、プレスリリースも配信されましたので、「GOOD EAT VILLAGE」の施設概要などはこちらからご覧ください。

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今回は、僕が、何故「GOOD EAT CLUB」を企画し、そこから繋がるリアル拠点「GOOD EAT VILLAGE」を作ろうと思ったかの理由や思い描く未来について、お話ししたいと思っています。

なぜ「食」を選ぶのか

コロナウイルスによって、飲食業界が非常に厳しい状況にさらされている今、なぜ食にこだわり続けるのか。

シンプルに言えば、未来の日本を生かすのは食しかないと思っているから。

近い将来、日本は確実に人口減少と少子高齢社会を向かえ、代わりに世界人口は100億人を超えると言われています。日本には、素晴らしい「食」の知恵や技術、そして、それを支える匠の技があります。

この状況下で日本が生き残っていくためには、日本にある素晴らしい「食」の魅力をより多くの方々に伝え、日本を好きになってもらうのが一番だ、と考えています。

また、食糧不足が予測される中、日本食は環境負荷が少なくサステナブルなものだと言われています。
※参照:Diets for a Better Future

その最中、コロナの打撃もあり、地方の名店と呼ばれる飲食店や生産者が次々と店を畳んでいる。このままでは、僕らが大好きな「あの味」や伝統がどんどん失われてしまう。このままでいいのか…。そんな気持ちから「GOOD EAT CULUB」の構想がはじまりました。

20年前の渋谷で生まれたコミュニティ

そもそも僕がカフェ・カンパニーという会社を立ち上げたのは20年前の話です。少し遡ってしまうのですが、この20年が今の僕を形作ってきたので、ちょっとだけ語らせてください。

ちょうど20年前、アメリカで9.11が起きた頃のことでした。とにかくショッキングで、社会の秩序ががしゃんと引っくり返される出来事だったことを覚えています。

世の中が変わるタイミングだからこそ、僕はメインストリームではなく、もっとマイノリティに光を当てて、小さくても多様で力強いコミュニティを作りたいと思いました。

それで、SUS(Shibuya Underpass Society)というお店を渋谷の高架下に作り、クリエイティブな人たちが集まるコミュニティの場にしようと思ったのが、カフェ・カンパニーの始まりです。

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その頃から、僕はCAFECommunity Access For Everyone(みんなが集まるコミュニティの場)と定義してきました。

そこから10年経った2011年、また大きな出来事が起きます。3.11です。

あの災害自体が多くの人の命や生活を奪ったことは周知の通りですが、同時に、日本の地方が抱える課題を浮き彫りにしたきっかけでもありました。
それは、従来のサプライチェーンがとても脆いということ。縦割り構造なので、どこかに歪が生じると、全体が崩れてしまうんです。

もっと横や斜めの繋がり、つまり「地域コミュニティ」の絆を強くすることが重要なのだと思い知りました。

そこで僕は、オイシックス代表取締役の高島宏平さんと一緒に、「東の食の会」という社団法人を立ち上げました。生産者自らのマーケティングを支援して、東北を誇れるようなブランドを生み出すことを目標としており、ここから生まれた商品としては、黄色いポップなパッケージの「サヴァ缶」が代表的ですね。

そして2021年、今を生きる誰もが経験したことのないパンデミックを向かえます。本当に不思議なんだけど、こう振り返ると10年ごとにビッグイベントが起きて、その度に僕の進むべき道が決まってきた気がします。

2021年以前から、AIの発達やSNSの急激な拡大で、コミュニティの形は大きく変わってきていましたが、コロナによってその変化のスピードはアクセルを切ったようにぐんと早まりました。

だから、ずっとコミュニティを見てきた僕なりに、食を中心とした新しいコミュニティの形を模索したいと思い、グッドイートカンパニーという会社を設立しました。

この会社は、NTTドコモとカフェ・カンパニーで作った会社です。先に述べたように、コロナの影響で失われていく日本の食文化を、どうにか守って未来に繋いでいきたい。そのためには、CAFEというリアルな場を設けるだけでなく、ITを活用して、オンライン/オフラインを越境するような新しいコミュニティ作りが必要だと思い、その分野に強いNTTドコモさんが志に賛同くださり、協業することとなりました。

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グッドイートカンパニーが運営する「GOOD EAT CLUB」というECサイトは、単なるショッピングモールではなく、​
①出店者さんと新しい商品やサービスを一緒に作り上げていくこと
②リアルな体験とオンラインとを融合させること

この2点にこだわっています。

そう、この②を実現する場になるのが、今回オープンした「GOOD EAT VILLAGE」なのです。

20年の歴史がようやく繋がったかな…?(笑)

この店は答えじゃなく、問い続ける場所

「GOOD EAT VILLAGE」は、1階が「PUBLIC HOUSE Yoyogi Uehara」という飲食店となっています。

メニューとしては、「GOOD EAT CLUB」で販売している商品をアレンジした料理がラインナップされていて、気に入ったらそのままオンラインで購入できる仕組みです。ECサイトはいつでもどこでも買い物ができて便利ですが、正直なところ食べたことのないものをいきなり買うのは勇気がいる……という方も少なくないですよね。そんな方に向けて、日本中のおいしいものを、気軽に試してもらえるお店にしました。

そして地下には、「おいしい未来研究所(略して「おい研」)」という名前で、食に興味をもつ誰もが自由に学べる”現代版寺子屋”のようなコミュニティを作ります。

20年前に比べると、食に関するテクノロジーも随分と進化しました。おいしさを閉じ込める冷凍技術やロボティクス、香りを科学する人まで。
わくわくする技術はもう沢山あるんです。あとは、それをどう形にして、事業にしていくか。「おい研」には「GOOD EAT CLUB」に出店する飲食店から、クリエイター、研究者……とにかく様々な分野のユニークな人たちに集まってもらう予定です。

異分野異業種の仲間の会話から、先進の技術にアイデアが肉付けされて、ビジネスになっていく。

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僕はこの「GOOD EAT VILLAGE」という場所は、問い続ける場所だと思っています。常に問いが生まれて、その答えを多様な価値観で生み出していく場所。

「問い」なんて言うと小難しく聞こえますが、何も難しいことじゃありません。

「この料理、なんでこんなにおいしいんだろう?」
「どうすればこの商品をもっと広められるだろうか?」
「この人とどんなおもしろいことができるかな?」

おいしいものを食べながら、ぽんぽんと浮かんでくる楽しい問いを、1つずつ掘っていけば、それはきっと新しい価値のヒント。専門家だけでなく、地域の方も一緒に参加することで、より多様な問いとその答えが生まれていくと思うんです。コロナによって食産業は再び分断されかけましたが、そこに生活者も含めた色々な仲間が入ってくれば、暮らしに根付いた豊かなコミュニティになります。オンラインでもオフラインでも繋がることができる、そんなコミュニティになればとても力強いですよね。

みんなそれぞれの「おいしい」を見つけて、その「おいしい」を未来に繋いでいくために、問い続ける。この場所から沢山の「おいしい」が生まれ、未来の「おいしい」に繋げていけたら、きっと日本と世界の未来はもっとハッピーになります。

そんな”おいしい種”を、皆さんと一緒に、この代々木上原の地で育てていけたら嬉しいです。

2021年10月19日
楠本 修二郎

偶然か、必然か。この記事を書いている今日この日、その20年前はカフェ・カンパニー第1号店「SUS(Shibuya Underpass Society)」のオープン日でした。

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