☆【トランジション・マネジメント】ダイヤモンド社

これまでと異なる環境や異なる文化に身を置く時、自分自身の考えや行動のあり方のみならず同僚との関係や上司や部下、協力者等との関係性からどう成果を出していくのか、その基本スタンスはどうあるべきかをグローバルで広く紐解いた一冊。今の自分の置かれている立場と、今後考えていきたい環境も含めて参考になる本でした。→For more information


★異文化環境で、十分に自分のパフォーマンスを発揮できる状態になるまでのプロセスを「トランジション」という。

★人は本質的に「自ら導き出した答え」しか実行できない。

★目の前の物事を俯瞰的に見る「ディソシエーション」で自分との対話を作り出すこと。

★トランジションを大きく前進させるには、「自分との対話」を通じて、現状を捉え直す再解釈を行い「他者との対話」でお互いの違いを表面化させ、すり合わせる過程でまた再解釈を生み出すこと。

★リーダーが部下へのコーチングを実践するとき、その対話の目的は「業務遂行」や「問題解決」のみではない。大きな目的のひとつとして「相手の成長・能力開発」という柱があることを理解すること。それは、たとえ多少、問題解決や業務処理スピードが遅くなるとしても、相手の成長に役立つ可能性があれば、すぐに答えを与えずに考えさせること。自分の意見と違ったとしても、本人の考えを尊重してやらせてみることが大事。それを部下が理解したとき、その部下は主体的に動いていけるようになる。

★部下へのコーチングにおいて、効果が期待できる領域(=ゴール)とは、緊急度は低いけれども重要度は高い領域である。

★行動と対話を繰り返す中で垣間見れる、相手の「物語」について忘れてはいけないことは、人はそれぞれの「物語」の中で、「変わりたい」「もっと良くなりたい」という思いを必ず持っているということ。自分の口から「こういうことがやりたい」「こういう未来を実現したい」と言い出すことは とても勇気がいること。だからこそ、誰もが変化を起こす時には励ましや後押しを必要としている。

★あなたが一人ひとりのスタッフに、新しい「ビジョン」に向けた意識や行動の変化を求めるとき、その前に彼らと取り組むべき対話があります。それは、今あるものを「手放す」ための対話。彼らからすると、今までやってきたことにも多くの意味があり、その先に自分自身の人生をより良くするための「物語」の続きを 描いていたのです。こうした場合、まずはこれまで進んできた道のりに対して、あなたが十分に理解を示すことが必要でしょう。そして、これまで続けてきた行動や大事にしてきた考え方を「手放す」その先に、いったい何が手に入るのかを、彼らと一緒に見いだすこと。それができたときに初めて安心して新しい「物語」をあなたと一緒に描き直すことができる。

★対話を繰り返し、部下の本音を聞き出すことは本当に難しい。引き出したところで聞きたくもなかったことも聞いてしまうことも多いのは事実でもある。それでも、彼らなりに本当に思っていることが共有されないと、決して新しい行動は起きず、新たなワクワクする物語は生まれないのも事実である。