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医薬品添付文書の矛盾点

実習で、新旧のスタチンについて説明をした。
特に古い薬剤であるシンバスタチン。
昔から相互作用など注意が必要な薬であった。

しかし、最近はスタチンも世代交代が進み、シンバスタチン自体の処方を見ることも少なくなった。実際、薬学部でもシンバスタチンについては授業などでも出てきていないようだった。

新しい薬を学ぶのと同じくらいに、古い薬を学ぶのも重要で、その系統の薬(この例の場合はスタチン)の歴史を理解することが、実務を行う上でのミスの防止(調剤過誤の防止)につながると思われる。

シンバスタチンが何かということを知っているだけで、相互作用や副作用を防ぐことができる。

今回、シンバスタチンの説明をしている時に、たまたまゾコーバの処方があった。
早速、良い例だと思い学生に考えさせた
ゾコーバはご承知の通り、相互作用の多い厄介な薬だ。
患者さんのお薬手帳を見ながら、相互作用の有無を確認した。
(結構時間がかかった)
とりあえず、その患者さんには禁忌に該当するような相互作用はなかったので、
投薬を済ませた。

そして、ここであることに気づいたのである。

ゾコーバの添付文書には、シンバスタチンは禁忌の記載があるが、
シンバスタチンの添付文書にはゾコーバが禁忌であるという記載がない。

各添付文書参照
ゾコーバ添付文書(PMDAより)


リポバス(シンバスタチン)添付文書 (PMDAより)

リポバス(シンバスタチンの先発品)の添付文書の改訂は2024年6月、最新版である。ゾコーバは2024年3月改訂である。

改訂のタイミングの問題なのか、シンバスタチンに禁忌の記載義務がないのか、それはどうか私にはわからないが、記載がないのである。

学生は、あっ!と驚いていたがこのようなことが実際に多々あるのである。

ゾコーバの添付文書を確認していれば問題はないのだろうが、万が一、何も知らない薬剤師がシンバスタチンの添付文書のみを確認し、ゾコーバの添付文書を確認しなかった場合、禁忌薬同士を調剤してしまう可能性があるのだ。

このような、例はもっとたくさんある。
なので、添付文書は片方だけ確認するのではなく、きちんと全てを把握する必要があると思われる。

(なぜ、このような矛盾が起こるのか、ご存知の方、教えてください。よろしくお願いたします。)