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びっくり!「ゼットンの1兆℃の火球」の原稿がたくさん読まれた!

 今日4月9日から柳田理科雄が「Yahoo!ニュース個人」のオーサー(書き手)になった。偶然ながら、その日が『ウルトラマン』最終回の放送日(1967年)だったので「ゼットンの1兆℃の火球」の原稿を載せたところ、予想外に多くの人に読まれた。「懐かしい!」「かつて熱中した『空想科学読本』だ!」などのコメントを続々いただき、「ゼットン」はともかく、「柳田理科雄」までがTwitterのトレンド入り。ビックリするやら、笑うやら、だった。

『空想科学読本』25周年ということで、ここ何日か、出版された頃のことを書いていたが、「ゼットンの火球」も元々は25年前の原稿である。ただし、ゼットンだけを検証した原稿ではなく「怪獣は10万℃や100万℃の火を吐くが、そんなことをしたらどうなるか?」という内容。むしろ、10万℃の怪獣ザンボラー、100万℃のジャミラ(これは元人間)についての考察が中心だった。火を吐く怪獣たちは多かったが、概ねそのくらいの温度設定であり(ゾフィーのM78光線は「78万℃」とか)、ゼットンの1兆℃は「例外的に突出している」という印象だったのだ。

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 また、柳田は当時の原稿で「ゼットンの火球によって、地球から90光年以内にある星々の生物は全滅する」という旨を書いているが、だいぶ経ってから(2018年)計算し直したところ、計算を間違えていたことが判明した。正しくは「滅びるのは402光年以内の星」。これに気づいたとき、柳田は本気で「ど、ど、どうしよう」と青くなって相談してきたので、Twitterで「間違ってました。すみません」と報告した。すると「被害が拡大しているじゃないか!W」と笑って受け入れていただいた…ということがあった。まあ、彦星(わし座のアルタイル。地球から16光年)も織姫(こと座のベガ。地球から27光年)も亡くなってしまうことに変わりはないのだが……。

 それにしても、登場から半世紀を超え、『空想科学読本』から25年を経てもなお、これほど注目されるとは、ゼットンの存在感には驚くほかない。25年前の柳田は、ゼットンをそこまですごい存在とは認識していたかどうか……。『空想科学読本』の原稿は、こんな結びになっている。

「ザンボラーは10万度の炎で山火事を起こし、ゼットンの1兆度の火の玉は、科学特捜隊本部のガラス窓を割った。が、想像を絶する超高温でそんなことをするのは、ダイヤモンド原石を漬物石にしたり、コンピュータを花瓶置きにしたりするようなものだ。
 山火事を起こしたのなら、木材の発火点250度前後でよいし、窓ガラスを割りたいのなら、石をぶつければいい。適材適所。これが本稿の教訓である」。

ははは。面白いけど、なんてコト言うんだ、柳田くん。

【文/空想科学研究所所長 近藤隆史】


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