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土砂降り黒い傘

数年前の土砂降りの日
保育園までお迎えに。
子供達を乗せて裏道から車を走らせると
雨で視界の悪い中、数メートル先の
住宅街の道路の真ん中に傘。
中学生がわるふざけでもしてるのかな?
でも傘はモゴモゴうごいてる
ちょっとなんか、変だな…
近づくことにした。

バタつく足が見えた。
つま先が上向き
雨は土砂降り。視界不良な程の。
手もバタバタ。仰向けだ。
近づくと高齢者が道路の真ん中で
立ち上がれずにいた。

大丈夫ですか!!!

車から呼びかけるも
あー、あーと声を出すのみ
脳梗塞かなんかかな…ヤバイぞこれは。
子供にちょっとじいちゃん助けてくるから待ってて!
といい車から降りた。
土砂降り。今私が救急車の連絡は出来そうにない。
周りを見渡す
眼の前の家に明かりがついている。
玄関チャイムを押す。
在宅だったご夫婦が出てくる
換気扇からカレーの匂い。

すみません、救急車呼んで下さい。
人が倒れてて!!お願いします!!


じいちゃんは
急に倒れて起きれなくなったと話す
長身で起こすにもかなり力がいる。
クソヂカラを使い電話をかけてくれているお宅の車庫までじいちゃんに肩を貸しながら移動してると
ここに来る前に追い越した女子高生が
何か手伝います!
ときてくれた。
助かる!
ありがとう!じいちゃんの傘、こっちに持ってきてくれる?
はい!
女子高生はじいちゃんの黒い傘をもちさしてくれた。
ご夫婦はいちばんテンパりながらも車庫に敷物と椅子を用意してくれて、どっちか、楽な方で休んでてと声をかけてくれた。

じいちゃんに、救急車呼んだからね。もう、大丈夫だからね。と言うと

じい)家があと少し行ったとこだから家まで連れていってくれんかね? 
私)家に誰かいるの?
じい)誰もおらん…
私)また倒れたらどうするの?次は誰も起こしてくれんよ。病院にいってみてもらって!
じい)…。

じいちゃん、顔面蒼白で若干呂律が回らない。
救急車のサイレンが近づく。

待っていた息子が窓をあけて
おかぁさーん、(妹)泣いてるー!!!!

女子高生とご夫婦に
後は頼んでいいですか?よろしくお願いします。
と話て私は帰ってきた。

職場でこんなことがありまして…
と話すと
こないだは猫、今度はじいちゃん
つぎは死体でも見つけるんじゃないのか?
と言われてゾッとした。この人に。

テレビで人を助けて表彰されてるのを見ると
私らは?
とたまに思ったりもする梅雨の思い出でした。

グッジョブ私。


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