インタビュー 在野一生

編集子:この度、noteデビューされたわけですが、動機やきっかけ、目指すものは?

在野:はじめまして。在野一生(ありの・いっせい)と申します。よろしくお願いします。直接の動機は、20年余り追求し温めてきた <濃尾地域の古代像> について広くお伝えする機会があればとかねてから思っていたのですが、つい最近、運よくnoteを利用されている方に出会い、その方に強く勧められた事がきっかけとなりました。

編集子:そもそも、なぜ濃尾古代像を追求されはじめたのですか?

在野:20年余り前に仕事上地域案内をする担当になりまして、当該業務がマンネリ化していたので、半年ほどかけて<地域の歴史を知る企画>を練って実施したのです。そのイベントが予想をはるかに超えて大好評で、短期間で十数回もリクエストがきたわけです。そうすると、毎回同じ話をするわけにもいかないので内容的に毎回+αしていったのですが、その過程で当該地域(各務原市)に重要な歴史が秘められている事、そして、その掘り起しと濃尾地域における位置づけの重要性に気づいたわけです。

編集子:具体的には?

在野一生:そうですね。たかだか80平方キロメートルの狭い空間に、古墳が600(美濃地域二番目の坊の塚前方後円墳をはじめとして前方後円墳10基ほど)以上もあり、奈良時代最大級の陶器古窯跡、更には古代寺院跡が10前後もあるわけです。もちろん、縄文、弥生遺跡もありますが、古代寺院は、今でいう総合大学のようなものですから、その狭い空間に関東と関西の六大学を詰め込んだような地域というようなイメージになります。このような所から、南都仏教を代表し最澄と対決する護命(秦氏)が誕生するわけですね。他にも、日本書紀にも登場する乙巳の変(大化の改新)後に右大臣になった蘇我倉山田石川麻呂を祭る神社やその墓(伝承)もあるのです。

編集子:それはそれは…すごい地域ですね。

在野一生:そうなんです。それなのに、小、中、高校の歴史教科書には一切載らず、郷土史教育も全く行われていなかったわけです。で、いずれ子どもが自立した段階で、サラリーマン生活に区切りをつけて、この貴重な地域を深く探求しつつそれを表現する道を歩きたいと思いました。

編集子:退職されたわけですか?


在野一生:はい。友人、知人、妻の反対を押し切って(すみません)。在職中(資金のあるうちに)、追求に必要な主要書籍は片っ端から購入しておきました・・・

編集子:かなり思い切りましたね。

在野一生:というのも、実は、その地域案内をする4年ほど前に生死を彷徨って二か月余り入院した経験があり、退院して一歩目を踏み出して足裏に踏みしめた砂利を感じた時に、「運よく生かしてもらったけど、ボクにも何か役割があるのかなあ?」と漠然と思ったのです。で、地域案内をして参加者に喜んでいただいたとき「これだ!」と感じたのです。

編集子:読者の方にとって貴方の記事のメリットは?

在野一生:日々浅学非才を痛感している人間が表現するものですので、至らない点が多々あると思いますが、一番のメリットは、私が在野(非アカデミズム)人なので、しばしば足枷ともなってしまう常識や通説から自由である点にあると思っています。文献上、古代史資料はかなり限られてきますので、アカデミズムが「偽書」扱いして否定してしまうようなものでも、実像追求(推論)に役立つ部分は、論理的に整合性がとれれば史料として積極的に活用していくスタンス(自称:草枕古代史手法)が大切だと私は思うのです。例えば、海部氏勘注系図、記紀よりも神系図が体系的であるホツマ伝、各神社の伝承、荒神追求に不可欠な東日流外三郡誌など・・・そのような自由思考で積み上げた推論は、皆さんが古代を見つめる上できっとお役に立つ事と確信しています。

編集子:他にも何かメリットはありますか?

在野一生:そうですね。世界では、遺跡について諸学を総合して評価していくのが一般的ですが、日本はその点でかなり限定的ですから、(低温)製鉄手法など諸学の知見をご案内する事はご参考になると思います。また、東北アジアスケールで日本の古代像をトータルに追求していくというスタイルも、皆さんが日本の古代を見つめる上できっとお役に立つ事と思います。

 2年余り前に登録しましたが、コロナ禍、公私多忙、雑諸事に追われてなかなかUPできませんでした。ようやく始める事ができるようになりましたので、在野一生の史点を地道にUPしていきたいと思います。
 令和の弁天様に感謝。

※ 栄中日文化センター講師(古神社、祭神から濃尾の古代像を描く)
  月刊:東海財界連載「濃尾探当照」  2012.08~2017.12
           「濃尾人に告ぐ」 2022.12~
  ー所属団体ー
   春日井たたら研究会、春日井郷土史研究会、丹羽の里座学会、神社史研究会ほか


  


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