オタク作家は分譲マンションの夢を見るか4

Phase4:大手不動産のモデルルームは別世界でした……。

とりあえず、建築会社大手の新築マンションにもアタックしてみようという決意を固めた。

決意を固める前は、色々な噂に翻弄されていた。だって、ネットの海には『収入が500万程度じゃ相手にしない』とか、『職業が自由業やフリーランスだと一昨日来やがれと言われる』とか凄まじい噂が流れているから……。

でもまぁ、マイナーな新築物件のモデルルームに行って、あんまり積極的に売り込みを受けなかったこともあったのと、価格を考えたら大手の新築でも買えるんじゃね? という感じになったので、どうせなら……と行ってみることにしたんどす。

でも、とんでもなくいい立地の物件のモデルルームに行ったらアレかなと思い、候補地の一角に建築中の中規模物件を狙って応募してみた。すると……すぐさま反応があり、あれよあれよという間にモデルルーム見学の段取りがついてしまった。

まぁ、この辺は中規模建築会社でも一緒。

で、モデルルーム――ではなく、マンションギャラリーに行ってみた。

この時点で職業も年収も先方には伝えてあるのだけど、一昨日来やがれとは言われなかった。まず最初に担当となる営業さんとのお話。前回もそうだったけど、なぜか担当さんは女性の方。まぁ、話しやすいんだからいいんだけどね。こちらは、年収の証明もあるので、確定申告の控えを3年分用意しており、さっさとそれを見せてみる。で、職業についての説明をする。この段階で、相手にされないというお話はやっぱり噂でしかなかったよね? という感じになる。

その後、見せられたのは20分くらいのムービーを使ったそのマンションの説明。そしてパンフレットと模型による説明。現在の空き室状況の説明を受けてから、どの部屋にするのか? という候補選びを行う。

こちらも噂だと、『年収からこの部屋しか見せない』というものがあったのだけど、それもまったくの噂だということが分かる。非常に丁寧にそのマンションで現在分譲しているすべての部屋の間取りを見せてくれた。

おそらく、3年間の年収の平均値の30~35%×35年の価格の範囲内であれば、購入させても問題ないと判断されるんじゃないかな? ただし、新築不動産物件は基本的に価格が公開されていないので、自分で根気強くネットの海を探し回って誰かが言っている価格を調べてから突撃した方が撃沈率が低くなると思う。僕も、この物件を選んだ理由は、自分が住みたいと希望する街にあったのは当然だけど、偶然、Yahoo!にその平均価格帯が掲載されたためだから。

そして、希望の間取りをいくつか挙げてから、モデルルームを見ることに。

どのマンションギャラリーもそうだけど、モデルルームは1室しかなく、そこから想像するしかない。ただ、使われている素材を想像させてくれるために、他のマンションのモデルルームを使って説明してくれたのが好印象だった。例えば、ちょー高級マンションのモデルルームと部屋の高さが一緒だったので、そっちのモデルルームで室内高を見せてくれたり、使っている床材はこちらと一緒だからと、別地域のモデルルームで説明してくれたりと、大手さんだけあって、ひとつのマンションギャラリーに多数のモデルルームを抱えているから、想像しやすいように説明してくれる。

さすがに大手さんだけはあるなーというものだった。

どうせ新築で近い値段なら、こっちがいいと大手さんの方に切り替えて、最初に行った新築物件はお断りすることにした。建築会社は断るとしつこい営業トークが来るというのも、まったくなかった。おそらく、曖昧な断り方をするのがそれはいけないんじゃないか? というものと、お断りはメールでやってしまい、電話による応対はナシというもの。今時だと電話は着信拒否も出来るわけで、そんな営業トークは都市伝説と化している可能性が高いんじゃないかな? と思う。もちろん、そんな無茶振り営業は場所によりけりで、まだ残っているのかもしれないけどね……。

あとは、Phase3で言ったように、オタク作家なんか相手にしないよ~という可能性もなきにしもあらず?

まぁ、それだって無茶振り営業に悩まされるよりはマシだ。

というわけで、大手さんの新築を購入する気にはなったのだが……が……。

ここから先に問題が次々と起こっていくのだった……。

まず、フリーランスの味方という噂の銀行さんはドコもダメだった。

最初の凶報は、S銀行さん。届いたペラペラの薄い封筒は、大学受験の時に経験した不合格を知らせる通知を思わせ、ああ、コレは……と思っていたら案の定、貸してやらんもんね! という通知だった。挙げ句、C地銀さんが4000万なら……と言ってきてくれたけど、どう転んでも足りない。購入の可能性としては、二行から借りて返済していくという方法もあるようだが、それにしても金利がバカにならない。

さて、どうするか……となった時、月々20万以上の返済は可能か? と営業さんから聞かれた。今は、不可能じゃない。でも、この先の浮き沈みがどうなるか分からない状態で、それは頷ける金額じゃない。

さらに、現在の手持ち現金以上のものが必要になるから、崩せるお金はないか? と聞いてくる始末。そんなんあったら、さっさと現金化しているわいボケー! という感じだ。この時点で、僕は手元の現金を元手にして、埋蔵金でも掘りに行った方がいいのかと考えていたくらいだった。

大手さんの営業さんの問題点としては、収入の金額に対する考え方があまりにも庶民からかけ離れているように感じる。あるいは、10年かそこらで住宅ローン破産しても構わないから、とにかく売ってしまおうという感覚があるのではないか? と思えるくらいの強引さがあることだ。

35年ローンで申し込んで20年くらいで返済するようにと言われるのは、その顧客に信用がないからだと言う話をα回で取り上げた『芸能人の不動産事情の番組』でやっていたが、まさにそれはコレか? という感じだ。

こうなってくると、この物件を買うべきではない? という気持ちがわき起こってくる。

こうまで無理をして買うべきかどうかを検討するために、パンフレットとにらめっこしていたら、気になる小さな書き込みを発見した。それは、非常階段に通じる部分の扉が、基本閉ざさずに開けっ放しということだった。その隣には、大きな吹き抜けがある。

完全な内廊下じゃないじゃん!

そう、かつてストーキングとか色々と経験してきたので、我が家的にはセキュリティーの充実は必須項目のひとつ。そのためにオートロックでなるべく内廊下の物件を選んでいたのに、非常階段は開けっ放しって、全然セキュリティーダメじゃん!

実際に建築中の物件を見に行って、その非常階段部分を隣の建物などから観察してみた。すると、ビルの隙間を通っていけば簡単にその非常階段の足元まで行けること。さらに、その非常階段の1F部分はカバーされているけど、周囲を取り囲むフェンスから近すぎて簡単に2F部分に取り付けること。そして、簡単に非常階段に入れることが予想できた。

まぁ、もちろんこんなダイ・ハードなことをやるヤツはいないというのが建設会社側の言い分なんだろうけど、泥棒は簡単にダイ・ハードなことをするから! というもの。

なにより、この建物の非常階段周りは周囲のビルの陰になっているために、なにかしていても中々気づかれない場所にある。

泥棒さんいらっしゃいだよ!

そんな物件に5000万台後半まで出す価値はあるのか? まぁ、自分で発見したケチの付け所があると、以外と物件ってあきらめきれるもの。まして、ペット可に次いで重要なセキュリティー部分がここまで軽視されている物件だと、やっぱり長く住めない気がする。

そんなこんなな状態になったために、この大手新築物件はあきらめることにした。ちなみにお断りの電話をした後、こちらの営業さんからなにか言われることはなかったが、その他の物件のDMには悩まされることとなった。

興味ナイ地域の物件を送られてきても迷惑だよ! というのが分からないのか、それとも家を買う人は値頃感だけで買っているのか? とにかく、海際だの埼玉県だの千葉県だの神奈川県だの、今よりも不便になる地域や今後地震がきたらあぶねーという地域のDMが毎週のように送られてくる。

色々な意味で、大手不動産の考え方は、別世界だ……と痛感し、とにかく中古物件を中心に探すことにした。

Phase5:営業さん次第の中古物件

Coming Soon!!

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