kushiki-wataru

作詞家をしています。筆名はくしきわたる。鳥羽一郎さんの歌った「瞼の母はしょっぺいや」の…

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作詞家をしています。筆名はくしきわたる。鳥羽一郎さんの歌った「瞼の母はしょっぺいや」の作詞を手がけました。ショートショートで佳作をとったこともあり、短編を書くのも好きです。 どうぞよろしくお願いいたします。

最近の記事

「良き人生のページ」

星の言葉を 暗唱し  漆黒の闇の ページの奥にしまう 二度と 引き出せぬかも知れぬ それらの存在に 安堵する 朝は自然の恩恵を 噛み締め 昼は何も気にせず 何も思わず ただ労働の絵図に 溶け込む 夕暮れの 程よい疲れが 柩のベッドを 想起さす 生きる事と 死ぬ事は 鍬を上げる事と 下ろす事と なんら変わりはしない 何も望まないのは 自然ということ 何かを望むということは この星に異物が

    • 心地よい夢

       今日も僕はLineのチャットでやりとりをしている。文字だけのやりとりだけど心躍る時間だ。そう、女の子とのやりとりだ。  「札幌って白樺が群生しているんでしょう?すてきでしょうね~」  「白樺の小路を散策するなんて、札幌では珍しくもないんだけどね、ゲーテを小脇に抱えてとなると、少しちがうかな」  「へ~、鹿児島に住んでると想像もつかないわ。でもゲーテなら落ち葉のじゅうたんの中、ベンチに座って読書する君に似合いそうね」    「そうかな?そんなに絵にはならないよ、僕なん

      • 「米寿の祝い!う·ふ·ふ」

        ばあ ちょっとお塩が 濃すぎたかしら じい 今夜は血圧 気にしない    今日はお前の 米寿の祝い ばあ 思い出すわね 学ラン姿のあ            なた  じい それを言うなら お下げにもんぺ    のお前もさ ばあ 髪はないけど 昔と変わらぬ    じいさん じい よくは見えぬが 声の可愛い    ばあさん ばあ 今夜は寝化粧 しようかしら じい+ばあ    今夜だけは 特別な    ふたりだけの 米寿の夜 ばあ 今日はリハビリ さぼって寝てた じい ケアマネいな

        • 友愁鎮魂の歌

          人馬 戰(いくさ)に 散り逝きて 無念の慟哭  地に響く 四方の戰場   夜霧に溶けて 黒き涙が   血に滲む  悲愁の月よ   今宵きり 刄収めて   共に泣こう 流転無常の  世にあらば 散り逝く若葉に  風も泣く 熱き血潮も  波涛に呑まれ 朽ちて路傍の   夢と散る 瞼の友よ   父母よ 夜露と共に   眠ろうか 喩え我が身が 朽ちるとも 故郷の花々  競い咲く 何れ栄えし  故郷 子等よ 屍乗り越え   勇み行け 墓前でいつか   亡き友よ 膝を交えて  

        「良き人生のページ」

          ジョロウ蜘蛛の恋跡

          いつか命の 尽きるまで 色と欲との 知恵比べ 恋の都を 知らぬ身の 遠い昔が 懐かしい パパの面影 追う度に 似たよな男を 追い回す 脇目も振らずに 捧げた愛を 逃げる男に 容赦はないわ 最期のキスを 交わす度 愛のトドメに 痺れるの 女郎の蜘蛛の 網の目が 夜毎足もと 妖しく光る 遠慮しないで あたしはここよ 次の男の キスの味 求め彷徨う 生々しさよ 夏の夜長の 汗ジミは 虚実まじえた 夢の跡 愛の五感が 昂ぶって 好いた男を なぶるのよ ママの孤独を 知る度に あ

          ジョロウ蜘蛛の恋跡

          蜘蛛の女王(クイーン)

          うちの旦那の作詞したJPOPです 革の下着に ムチ打つ音 全てを見通す 女王様 善でも悪でも ありゃしない 過去を悔やまず 未来に夢見ず 今をただただ つづるだけ あたしは男が大嫌い あなた以外はね 男が彼岸に 行き着く前に あたしこの手で 沈めてやるの あたしが眉を ひそめる時 この世の歴史が 大きくゆがむ 疑うことを あきらめなさい 女王様の 見えない力を認めるの 夜のさみしい 三ッ池公園 あなたと初めて 会うまでは 舌なめずりして 待ってい

          蜘蛛の女王(クイーン)

          少女の変態

           旦那の作詞したJPOPです 摘み取られた 訳じゃない しばらく妖精 ヤメるだけ 恋に落ちたと 言うわけさ 全てがぶっ飛び 理性が焦げつき 神聖狂気な 花畑 未知なる世界の お出ましよ しかし!アタシは 気づいちまった 男の心が 離れぬように あたふた貢ぐ 自分にさぁ 見える景色が 違って来ると 自ずと別れが やって来る 終には異国の 迷い人 捨て猫以下に 痩せ落ちた しかし! しかしアタシは負けゃしない 不死鳥少女の伝説は To Be Continued まだ続くわ

          少女の変態

          兄弟弟子

           古代中国は大雪山脈の東、長江の支流である大渡河が刻む峡谷の様子を望みながら、朝起きて陽が沈むまで修業する二人の兄弟弟子がいた。  「今日はこれまで」 「はい」  師匠の名は幽眠で妖術師。まだ幼い二人は、兄弟子の幻夢と弟弟子の操夢と名付けられた。  「先ずは己の眠りを支配しなさい」「はい」  幽眠の妖術は、人の夢と眠りを操るというもので、大国に大金で雇われ、敵国の大将を様々な方法で、呪い殺したり自殺に追い込むという高等妖術の使い手だ。  「先ずは日の光を充分浴びてし

          黙示録

          太古の昔、土の海神、水の海神、大気の海神、闇の海神と光の海神とが協力して理想の星を造る事になりました。  先ずは小さな核となる星を造り、そこに土の海と水の海を造り、生物を生み、大気の海を造り、生物を増やしました。  そして闇の海神と光の海神が協力して、太陽の恵みと、生物が体を休めるための夜の闇を造りました。  やがて、その神々が苦労してバランスを取り合い、素晴らしい地球という星が誕生しました。  しかし、今、地上は人類が支配し、大気を汚し地上を汚し海をも汚し、そのバランスは破

          転校生

          たけし君は、クラスでは、なんでも一番で元気な小学2年生。それはそれはクラスでは、人気者でした。 ある日、一人の男の子の転校生がやってきました。名前も同じ、タケシで、体はたけし君より少し大きな子でした。 しかも、たけし君は、そのタケシに勉強も運動も何をしてもかないません。一番の座をとられてしまったのです。たけし君は、それがくやしくてくやしくてしかたありませんでした。 先生の質問も、たけし君より先にその子が答えてしまう。タケシはなんでも知っているのです。かけっこも、やっぱり