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地元民が思う隅田川花火大会のこと

屋上からスカイツリーと一緒に

毎年、この日が近づくと少しずつ心が高鳴るのを感じます。

7月に入ると地元の広報誌で特集が組まれたり、規制のための工事があちこちで行われたり、SNSで同じく地元の方々の「今年は◯◯で見る予定」といった投稿を目にしたり、街に前兆が現れると一層気持ちが高まっていきます。

僕の住む東京都墨田区とお隣台東区の間を流れる隅田川では夏に花火大会、春には桜の名所となり、外から大勢の方がいらっしゃいます。このような胸を張れるイベントが地元で開かれるというのはとても誇らしいもの・・・。

しかしながら、そうとも思えない時期もありました。

幼少期から墨田区に住む僕にとって花火大会は「当たり前の光景」でした。実家は川に近い場所にあるので家を出なくとも迫力ある光景を見ることもでき、飲み会好きの父が毎年知り合いを招いて花火を見ていました。

そうした「当たり前」というのは、見方を変えないと楽しめなくなってしまうものなんですよね。中学・高校生くらいになるとすっかり飽きていて、花火を横目にパソコンをいじっていました笑

見方が変わったのは就職して数年後、同棲のため地元に帰ってきた年のできごと。「これまでとは違う見方をしてみたい」と思い立ち、初めて花火大会の会場近辺まで足を運びました。

待っていたのは交通の混乱を防ぐためのとても大がかりな規制で、基本的には会場近辺の道路では立ち止まることができず、またあちこちに設置されたバリケードによって好きな道に進むことができません。花火を横目に(時には背を向けて)歩き続けなければいけないのです。

開けた場所ならともかく、高いビルも多いこのエリアで歩きながら花火を見ることは想像以上に大変で、タイミングが合わなければ建物に阻まれて主役を拝むことができません。目の前で打ち上がっているのに拝めないもどかしさを感じ続けながら観覧することになるのです。

しかしながら何より印象的だったのは、そんな状況でも楽しんでいる来場者の方々の笑顔でした。「こんなに苦労しても楽しく思える人がいるくらい魅力的なイベントなのか」とあらためて気付かされたのです。

それからというもの、花火だけでなく来場する方々の様子など街の変化を目にすることも楽しみの一つになりました。

僕の家の近くでいうと、とある踏切が隠れ観覧スポットになっているのです。

打ち上げ会場に向かって視界が開けたこの場所は、なんと鉄道会社のスタッフさん協力のもと踏切内で観覧することができるのです。電車が来たらサーっと移動して、通り過ぎたらまた眺める。波打ち際のような体験が妙に楽しいのです。

一緒に見ているご近所さんと自然に会話が発生したり、同じタイミングで歓声をあげたりする感覚はなかなか日常では味わえないもので、ご近所付き合いが弱いと言われる昨今、イベントを通じて一体感を得る喜びをあらためて感じました。

東京都23区という人も建物も密集するエリアでこうした大規模なイベントを開く大変さは想像以上だと思いますが、毎年楽しみを提供してくれる運営の皆さんに感謝しながらまた来年も楽しみたいと思います。

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