【学マス】『学園アイマス』の曲が音楽ファン的にもじっくり聴けちゃうという話【音楽】

今月リリース予定のアプリゲーム『学園アイドルマスター』ローンチ楽曲のミュージックビデオが、ここ数日間に渡りYou Tube上の公式チャンネル『初星学園』にて公開されてきました

全9曲からなるこの楽曲群、自分はゲームの存在こそ以前から認知してましたが、MV順次公開が開始されていたのは気づいておらず、YouTubeを見ているときにたまたまレコメンドで流れてきた一曲を学マス公式動画のそれとは知らずに開いてみたのが最初でした
……というかその曲を聴き終えてチャンネル詳細を開くまで、「どこかのレコード会社が立ち上げた新しい音楽プロジェクトかなにかかな?」と思ってたくらいです(例えるなら電音部のような)

なにせファーストコンタクトとして聴いたその曲がなかなかに尖ってましたから、アイドルゲームの楽曲だとは微塵も予想できませんでした
それがこの『Luna say maybe』

疾走感のあるロックを基調にしつつも、重厚なストリングスとホーンによる圧倒的な音数の暴力。要所でテクニカルなフィルを決めるドラムの妙技とドラマチックな転調を含めた展開も相まって、満足度たっぷりで壮大なスケールの一曲に仕上がってるのがサラッと聴くだけでもわかると思います

シンプルに楽曲構成の素晴らしさに舌を巻くと同時に、自分はこのバンド編成とミキシングをアイドルゲームの立ち上げ楽曲に持ってくる采配にも驚きました

これまでのアイマスシリーズも含め、アイドルゲームの楽曲というとまずボーカルの歌を基調に、メロディもミックスもアイドル達の声を活かす作りになっていた印象があり、良くいえば歌主体、あえて悪くいえばバックトラックは脇役というイメージがありました
実際シリーズの前作にあたる『シャニマス』でもローンチ曲は従来のイメージの延長にあるような、わりあいアイマスシリーズっぽい曲になっています

↑アイドルマスターシャイニーカラーズの初期楽曲のひとつで、ゲーム内グループ「イルミネーションスターズ」の持ち歌『ヒカリのdestination』

一方で先述の『Luna say maybe』は、ともすればボーカルの存在感が埋もれてしまいそうなギリギリのラインまでギターやバイオリン、管楽器などの音が鳴りまくっていますし、手数もひたすらに容赦なく、この密度感で殴ってくる曲はアイドルゲーム以外を見渡してもなかなか巡り会えないレベルなんじゃないでしょうか
普段アイマスを含めたアイドルゲーをあまりやらない(たいていはさわりだけプレイしてキャラはしってるけど……とか、作曲家繋がりで曲だけ知ってることが殆ど)という自分でも、ここ数日ヘビロテするくらいには良い曲だなと思ったほど
(ちなみに作曲陣や楽器隊も音楽ファン……特にジャジーなポストロック好きには刺さる面子だと思います)

しかし後日、音楽ファンとしてさらに衝撃を受ける楽曲がこのチャンネルで公開されました。それが『Luna say maybe』の4日後に公開された『光景』

新鋭ミュージシャン・長谷川白紙による作詞・作編曲の今楽曲。ラテンジャズ的なノリとボサっぽい浮遊感に随所で押し寄せるリズムの津波がなんとも印象的で、『Luna say maybe』以上にアイドルゲームの枠を越えて存在感を放つ前衛ポップに仕上がってるんじゃないでしょうか
少なくとも自分は先に挙げた曲と合わせて、2024年上半期のベスト10に入るくらい気に入っています

単純に曲自体もすごいですが、管弦楽器のアレンジに入っているのがアルトゥール・ヴェロカイという点にも度肝を抜かれました
現代のブラジリアンジャズ、ボサノヴァにおける世界的巨匠で、ラテンジャズとかそっち方面のファンなら知ってる人も多いと思いますが、まさかアイドルマスターシリーズに関わることを予想できた人がどれほどいたのか……!

↑1972年発表のセルフタイトル・オリジナルアルバムに収録されている『Na boca do sol』。こんな南米的メロウな曲を作る人が、ましてや78歳の老境に差し掛かってアイマス曲を手掛けるなんて思いもよりません。ちなみにこのオリジナル盤は製作背景の事情もあり3000ドルで取引されたこともあるようです

↑こちらは同じ学園アイマスの曲ですが、前述のような長谷川白紙×アルトゥール・ヴェロカイというコアな組み合わせの作品もある一方で、こういういかにもHoneyWorksっぽいハニワ曲もあったりする懐の広さが実に面白い

他の『学園アイマス』曲も総じて個性あふれる曲揃いなので、「アイマスとか特に興味ないけど……」という音楽ファンでも一通り聴いてみてください。紹介した2曲以外にも琴線に触れる作品があるかもしれません

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