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「絵本美術館森のおうち 」を存続させたい


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はじめに

アルプスの山々を屏風のようにして立つ有明山は安曇富士ともよばれ、里人にとってはかけがえのない故郷の象徴です。その裾野にひろがる広大な赤松林。絵本美術館&コテージ「森のおうち」は、その中にひっそりとたたずんでいます。

1994年、長野県安曇野市にオープンした当館は、「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで設立された私設の美術館です。特に、宮沢賢治の作品を通じて「生きとし生けるものの生命の大切さ平等さ、自然との共存」をテーマに発信を続けてきました。

当館は、2022年4月に創立29周年を迎えます。しかし、2020年春からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大変厳しい運営状況が続いています。

これまではご来館の皆様の入館料や、使用料、イベント開催料などを財源の柱としてきましたが、入館者の減少、人の集まるイベントの中止、結婚式などのキャンセルにより、大幅な減収になってしまいました。コロナ禍が3年目に突入した今、影響がここまで長期化することは予測できず、現段階ではまだ先が見通せません。

このままでは、28年間続けてきた絵本美術館の存続があやぶまれる局面にあります。そこで今回、広く皆さまにご支援を呼びかけられるクラウドファンディング(レデイフォー)に挑戦することを決意いたしました。

当館から児童文化の魅力とその役割を発信し、より多くの皆さまに楽しんでいただける美術館を目指したいと思います。あたたかいご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

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なぜクラウドファンディング?

「森のおうち」は安曇野市穂高のリゾート地に立地しており、来館者の80%が観光で訪れてくださる方々です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、来館者は2020年からの3年間でおよそ40%ほどまで減少してしまいました。

2020年春に感染拡大がはじまり、同年5月のGWを含む1ヶ月間は、県からの休業要請により全館休館を余儀なくされました。その後も更なる感染拡大の影響を受け、観光で訪れてくださる来館者は半分以下に激減。リゾート地の特性上、冬の閑散期の分までGWと夏休みで収入を確保する必要がある当館にとっては、大幅な減収となりました。

コテージも稼働率は例年の半分以下になってしまいましたが、一番影響が大きかったのは結婚式です。これまでは年間20~30組をコンスタントにお受けし、全体の収入の7割を占めるほどでしたが、2020年はほとんどが延期、もしくは中止となりました。

2021年も感染拡大のピークがGWと夏休みに重なり、「このままでは、絵本美術館の存続が難しくなるのでは?」という不安が大きくふくらみ始めました。当館は開館以来、ご来館の皆様の入館料や使用料を財源の柱としてきましたが、この時はじめてオンラインショップで応援団を募集し、年間入館パスポートやランチ券、コテージ宿泊券などのご購入を呼びかけました。多くの方々にご支援いただき、2021年をなんとか乗り切ることができました。

ところが2022年、またもや感染拡大となり、この状況がいつまで続くのか見通しが立ちません。現状のままでは、28年続けてきた絵本美術館の存続があやぶまれる局面にあります。そこで、「児童文化、芸術の世界が、不要不急なものではなくむしろ心の糧であってほしい」という願いを込めて、クラウドファンディングにて広くご支援を呼びかけることを決意しました。

■最終目標金額:1,000万円
■第一目標金額:800万円
■資金使途:絵本美術館の運営費、手数料、その他諸経費

絵本美術館は、年間2万人の入館者にお越しいただいてようやく運営が成り立ちます。これまで以上に母体である絵本美術館を中心として、魅力的な展覧会やイベントを通した発信を続け、存続の危機を乗り越えてより安定的に運営していくために、皆さまからのあたたかいご支援をお待ちしております。

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酒井倫子館長から

終戦の年に東京の家を焼かれ、いのちからがら母の実家である松本市芳川平田に引っ越した一家は、辛うじて生きのびることで精いっぱいでした。そんな小学生時代に先生が読み聞かせてくれた宮沢賢治の『風の又三郎』は、私をすっかり物語のとりこにしました。食うや食わずのきびしい青春時代も、絵本や児童文化は私に生きる力を与えてくれたと思います。

特別な財産もない私が夫の賛同を頼りに、「絵本美術館 森のおうち」を立ちあげたのは、とんでもない暴挙といわざるを得ませんでした。銀行をはじめ当館を立ちあげるために力になってくださった皆さまに、心から感謝いたします。私はどんな冒険をしてでも絵本美術館を立ち上げたかったのです。私と同じように、絵本・児童文化が誰かの人生の支えになると信じて。

あれから28年。森のおうちは毎年4企画ほどにくぎり、豊かな絵本原画を表紙から裏表紙まですべて御覧いただけるやり方で企画をして参りました。 

このごろは、年老いた私にかわり、私の長女をはじめ若い世代が森のおうちを背負って奮闘中です。未来に向け新しい世代に希望をもって託したいところですが、この2年ほどは世界中がコロナの渦に見舞われ、館は開店休業の状態にならざるを得ませんでした。

国、県、市の援助も受けつつ、何とか開館し続けたいと職員一同力をあわせ、この度、皆さまのご賛同を頼りにクラウドファンディングを行うこととなりました。どうか皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。
館長 酒井倫子

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皆様のあたたかいご支援で最終目標金額が達成できました

この度は、多くの方から「絵本美術館&コテージ 森のおうち」へご支援・応援いただき心より感謝申し上げます。
5月15日、おかげさまで最終目標金額の1000万円を達成することができました。

正直に申し上げますと、私たち自身達成は難しいかもしれないと思いながらも、“森のおうちを存続させるためには”と、少し高めの金額を設定させて頂きました。それにも関わらず、皆様のあたたかなお気持ちを当館に寄せて頂き、感謝しきれず、どうしていいか分からないほどの心持ちで館長はじめスタッフ一同感激しております。
この度は皆様、それぞれのお立場で当館を思い、お声かけ頂き、涙が出ました。本当にありがとうございます。

いままで、どちらかといえばアナログ的な方法で運営を続けてきた私たちは、コロナ禍という未曾有の自体に対応するため、やむを得ずデジタルの世界にも足を踏み入れ、動画配信やショッピングサイトを立ち上げるなど試行錯誤をしております。

今回、慣れない急激な変化の中でのクラウドファンディングの立ち上げとなりました。十分に分からない部分がありながらも、運営会社READYFORのスタッフの皆様に準備から教えて頂き、サイトの構成や流れもお助け頂いて無事にスタートをさせることができました。

“どうにかこれからも絵本・児童文化の魅力を知って頂く機会を、そんな場を残したい”という強い気持ちだけで、様々な方の助言をいただきながらも不慣れな状態で突き進んできたことで、ご不快に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
言い訳になってしまいますが、スタッフも仕事時間の短縮をしながら業務を進めていることで、どうしても手が回っていない部分があることは否めません。この場をお借りして、心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。

今回、皆様から多大なご支援をいただいたことで、これから、よりしっかりと前を向いて努力を重ねていかなければならないと、気を引き締めております。館内では、皆様に恩返しができるよう、どんな新しいことができるのかや、運営の改善をどうすべきか、どこを優先的に修繕していくかなど、毎日、話し合っております。

その一部をご紹介したいと思います。

クラウドファンディングのトップページでご説明した通り、運営費に使用した上で、よりよい施設、ご来館の皆様に気持ちよくお過ごし頂ける空間作りをして参ります。
●館のパンフレット印刷コロナ禍での急激な収益の減少により、広告や印刷物をできる限り削減して参りました。何件もお問い合わせいただいて、お待ち頂いております当館のパンフレットをようやく印刷致します。

●展示スペースの修繕皆様に日頃一番ご利用いただいているスペースの老朽化は29年経った今、どうしても目につく状態にまできております。挙げれば切りが無いため、お客様にもご指摘頂いております部分を考慮し、優先順位をつけて着手していく予定です。

・ショップ天窓からの雨漏り
・階段~2階の絨毯のすり切れと撚れ
・動物による建物の破損
・ウッドデッキ階段の破損
・トイレ
など

●カフェスペースの利用コロナウイルスの影響により、大幅に営業の自粛をして参りました。せっかくのスペースをどうしたらいいか、同業の皆様がどのような対応をされ、どんな傾向がみられたのかもお伺いし、案を練っておりますが、未だコロナウイルスの感染状況は悪いままです。
そこで、カフェスペースを利用して飲食ではなく、感染防止対策は施しつつ、お話会や講座、ワークショップ、サロンなどの開催を増やしてみたいと思います。皆様からの支援金でわずかながらの講師料も出せるのではないかと検討しております。また、そんな利用の仕方で、様々なお立場のより多くの方に当館に関わっていただきたいと考えております。

●ショップでのフェア開催。日頃からお世話になっている画家、絵本作家、作家などの皆様よりこの度も過分なご支援・応援をいただきました。大変ご無沙汰してしまった方々からも思いがけずお声かけ頂き、当館を忘れずにいて下さったことに感動致しました。そんな皆様の絵本・書籍などを改めて集めたフェアができればと考えております。

●オリジナルグッズの開発

●周辺環境の整備。今年、当館へご来館いただいている皆様はご存じの通り、当館周辺の森は松くい虫対策と、それに伴う倒木対策、松を切るために邪魔になる雑木伐採などにより、急速に木をなくしました。残念ながら、倒木の恐れがあるため、当館敷地内の赤松も伐採しなくてはなりません。現在、すでに駐車場前は木が無くなり、隣にできたキャンプ場との境も分かりにくい状態です。以前から当館を訪れて下さって、今年もお越しくださった多くの方が涙をみせながら残念がってくださる姿を拝見し、今回、皆様からいただいた支援金を使い、皆様への感謝のシンボルのような形で、取り急ぎ2本の桜の木を植えようと考えております。

運営の苦しい中でも、できるだけ皆様に恩返しできるよう、引き続き何が出来るかを考えて参ります。
長くなりましたが、最終目標金額達成した段階の今の館内のことをお話しさせて頂きました。今後も進展状況などをご報告させていただきます。まずは、心からの御礼を申し上げます。

2022年5月18日絵本美術館&コテージ 森のおうち館長 酒井倫子、職員一同

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「絵本美術館──森のおうち」のクラウドファンディングは継続中です(5月31日まで)。存続の危機を脱するために、どのように戦っているか、「レディフォー」のサイトを訪れてみて下さい。

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