見出し画像

マイナー・キーで歌うもの

 30年ほどまえ、ある全国紙の投書欄に若い母親からの投書が載った。赤子にふるい子守歌を聴かせたら、むずかって困ったという。
 
 翌日より、自分も同じ体験をしたとの投書が殺到した。投書を受け取った新聞社は、これは偶然じゃない、何か理由があるはずだと考えた。

 翌年、藤原新也が語っていわく。「これはコマーシャル音楽の影響ではないか」。コマーシャル音楽はみな長調で、短調のメロディーがひとつもない。赤子たちは短調を耳にしたことがない。だから拒否反応を示したのだ。

 山折哲雄がそう書いていた。
 のどかだなあ、と感じた。

 おれ? 
 おれは短調が大好きだよ。
 この話だってなにかの間違いじゃないかと思ってるぐらいさ。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?