ミュージカル 新テニスの王子様 The First Stageを観て

機会あって新テニミュを観劇することになったので、数々の人間を沼に突き落としてきたビッグコンテンツについて感想をツラツラと書いていきたいと思います。

そもそもテニプリとは?

もう説明するまでもないですが、テニプリこと「テニスの王子様」そしてその続編である「新テニスの王子様」はジャンプとジャンプSQで連載された(されている)テニス漫画です。

主人公の越前リョーマとその仲間たちがテニスを通じて成長していく物語でありながら、その必殺技のスケールの大きさ、何より他校の生徒を含めてキャラクターに対するファンの愛情とそれに応える制作陣によって、他のコンテンツに追随を全く許さないビッグコンテンツとなっています。

大量のキャラソンしかり、テニフェスしかり、そして今回観劇したテニミュしかり、沼という沼がそこら中に敷き詰められているのでいくらでもハマりポイントがあるわけです。

さてそんな「テニスの王子様」がミュージカルになるにあたっては、原作で描かれていたキャラクターをどのように換骨奪胎しながら、新たに造形していくかが非常に重要になってくるのではないかな、とライトなテニプリファンとしては思うわけです。

ただ原作やアニメのキャラの見た目を3次元に流し込むだけではなく、人が実際に舞台上で演じることで新たに付与される「何か」、それはファンからキャラクターに対する新たな解釈可能性の余地であったり、推しではなかったキャラクターに対する新たな導きであったりするかもしれません。

事実2.5次元のミュージカルの楽しみ方としては、名もない俳優の成長を物語の進行ともに楽しむという方法もあるようです。キャラクターとしての側面と俳優としての側面はどうしても切り分けられないものであるため、原作にはなかった

ということを、観劇前日に快活CLUBに籠もってテニプリを読破しながら思っていました。

観劇終了、感想

やーすごいね。ちょっとだけ過去のテニミュを予習していったんですが、進化を遂げている部分が多かったですし、何よりちゃんと「テニスしている」と分かるのが素晴らしかったです。

何かと揶揄されがちなテニプリですが、テニスの本質であるネット越しに行われる一対一もしくは二対二のラリーであることが、舞台で十分な広さを確保しながら相対することでしっかりと抑えられていて、3次元化することによるチープさを感じさせませんでした。

光の演出

どうやってテニスを表現するのか。たどり着いた結論が「光でテニスボールを表す」。最初に思いついた人は相当頭のキレる人なんだろうと推察します。

白石の円卓ショット、手塚のゼロ式ドロップ、こういった舞台では表現しづらいものも光ならお手の物。大和の幻有夢現も、音と光で舞台上にその存在を刻み込んでいました。

音と光とタイミングを合わせる俳優の皆さんや、裏方の人たちには頭が上がりません。少しズレただけでも違和感をおぼえるだろうし、めちゃくちゃ大変だと思います。

パッと見てどのキャラか判別できること

演劇では必須の要素(だと思っている)ですが、テニプリもその例に漏れません。似たユニフォームを着て舞台上を走り回ったり踊ったりする都合上、誰が今どこにいるかを遠目で見てもしっかりと認識できることが重要です。

メイクアップを行い髪型を整えること、そして衣装を着て俳優の演技によって醸し出す雰囲気。当たり前ですが全て揃って初めて〇〇というキャラが舞台上に現れます。

脇役を抑えることの重要性

お世辞にもリョーマや桃城役の歌が上手いとは思わなかったんですが、それでも作品として違和感を抱かなかったのは、間違いなく脇役のキャラに歌が上手い人をしっかりと置いていたからでしょう。

手塚・大和の新旧部長ペアもそうですし、鬼さん入道さんの厳ついおっさん達にいたっては、前に出たい欲が抑えきれていませんでした。そういうと語弊がありますが、脇役として好演していました。

むしろ彼らの上手さがゆえに、逆説的にではありますがリョーマや桃城の生意気さや荒削り感がうまく表現されていたような気がします。

キャスティングの妙

みんな忘れているけれど、テニプリは中学校が舞台です。そして新テニはU-17の合宿が舞台なので、高校生が敵として立ちふさがります。

最初に舞台に飛び出てくるテニプリのメンツ、「あれ?小さいな」と思うわけです。そして高校生キャストの登場で気付かされます、彼らは中学生であり新テニの世界ではチャレンジャーなのだと。

チャレンジャーとしての中学生、ディフェンダーとしての高校生を、そのサイズ感をもって観るものに知らしめるキャスティングの妙に流石だなと感嘆しっぱなしでした。

楽曲

っぱこれよ。ミュージカルは楽曲が良くないと、と思うのは私だけでしょうか。

改めて振り返るとなかなかヤベえ歌詞があったりします。覚えている限りでは白石&赤也ペアはバイブルとデビル化を絡めた歌詞でした。観劇している最中はいい歌詞だなぁって思って聞いてたんですが、後で人に話したら笑われました。まぁテニプリだし、少しくらい可笑しいのなんて誤差でしょ。

上でも言いましたが、新旧部長の曲や、最後のディスタンスなんかも好きでした。あと跡部様。いい曲作ってもらってんなーってただただ感心してました。

最後に

私はキャラへの愛着よりは作品への愛着が強いので、どうしてもあるキャラクターに強く肩入れしながら観るということができないのですが、それでもこうやってキャラと俳優とが分かちがたく結びついていると自然とキャラクターに思い入れがいくような心持ちになりました。

もちろん原作絶対!アニメ以外の声は許せない!という人にはオススメできませんが、「テニスの王子様」というコンテンツに少しでも興味がある人、いろいろな楽しみ方をしてみたい人には一度観てみる価値は十二分にあるんじゃないでしょうか。

なんだこれwとバカにするのは簡単ですし、苦手だなと思う気持ちも理解できますが、角度を変えてコンテンツに触れてみるのもいい体験だと思います。もしかしたら原作やアニメを見る目も変わってくるかもしれません。良きテニプリライフを。

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