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わたしは藁人形。心臓はないが心はある。証明はできない。きっとあなたは信じない。 今日は隣の木に打ち付けられた新入りに手紙を書こうと思う。隣の木なのに、なぜ手紙なのか。わたしは移動できない。声もない。だから手紙を書こうと思う。 手紙というのは良いもので、何度も書き直しができる。書いたけど出すのをやめて捨てることもできる。 まずは葉っぱを手に入れよう。ひらひらと落ちてくる葉っぱを捕まえて、わたしの体から藁をひとすじ引き抜いて、藁の筆で葉っぱに手紙を書こう。 目の前をいくつ