ビール傘

芸能事務所「モチハダプロ」の社長、屋良瀬やらせ八覚はっかくは、５人組のアイドルグループをデビューさせる新たなプロジェクトを立ち上げた。

「頼んだよ草木君。すべてはマネージャーの君にかかっている」
「はい。必ず成功させてみせます」
「早速だが、近々ビール傘デビューイベントを行おうと思う」
「準備を進めておきます」
「うちの事務所も最近勢いが落ちてきているからな。このビール傘で一発当てたいものだ」
「承知しています。ところで屋良瀬社長」
「なんだね」
「さっきからちょいちょい気になる単語が聞こえてくるんですけど、ビール傘とは」
「おっと、言ってなかったかな。グループ名だよ」
「やっぱりか。そうじゃなかったらいいなと思ってたんですけど。なんですかその、ショートショートnoteで適当に２枚選んでくっつけただけみたいな名前は」
「ビールのようにファンを酔わせ、傘のようにファンの想いを受け止める。それがビール傘だ」
「だからってビールはどうなんですか。メンバー全員10代でしょう。あと傘は弾いてますからね。雨防いでますからね」
「それなら問題ない。プロフィール上は10代だが実際は全員20歳を超えている」
「ないどころかさらに問題が積み重なっちゃったよ。まあ頑張りますけど。せめてもっとかっこいい名前にできなかったんですか」
「そう言われてもなぁ。適当に２枚選んだらそれだったし」
「やっぱショートショートnoteで決めてたよこの人」

こうして、アイドルプロジェクト『ビール傘』が始まった。

※参加させていただきました。