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ダウンロードファーストクラス

「日本の心を求めて」。今回はダウンロードファーストクラス職人の草木針太郎さんを訪ねた。

「いらっしゃい」

自宅のすぐ近くにある作業場の入り口をくぐると、針太郎さんは仕事の手を止めて笑顔で迎えてくれる。

「きたない作業場ですけど」

少しだけ作業場を見せてもらった。

「今作っているのはこちらです。これは、今度の展示会に出展するものです。あちらにあるのは、一週間寝かせたもの。随分と色合いが違いますでしょう。そちらは父の作品です。今見るとだいぶ古臭い感じがしますね」

針太郎さんは、江戸時代から続くダウンロードファーストクラス職人の家庭に生まれ、現在5代目だ。もともとはサラリーマンだったという。

「子供のころから父の仕事を見ていて、おもしろそうだなとは思っていました。でも、たまに手伝ったりはしていましたが、この仕事を継ぐ気はまったくありませんでした」

そんな針太郎さんに転機が訪れたのは、10年前のことだ。

「父が病気で倒れましてね。幸い命に別状はなかったのですが、もうこの仕事を続けられそうにありませんでした。父は、自分の代でこの仕事を畳むつもりだったようです。時代にそぐわない部分もあり、年々仕事も減ってきていました。ちょうどいい機会だ、なんて笑っていましたよ」

現在、日本のダウンロードファーストクラス職人は、針太郎さんただ一人だ。

「家業だからと、使命感にかられたわけではありません。ただ、なんとなくここで途絶えさせるのは惜しいな、と思ったんです。それに、今もダウンロードファーストクラスを必要としている人たちが少なからずいらっしゃって、ぜひ続けてほしいと声をかけてくださいました」

こうして針太郎さんは脱サラし、家業を継ぐことを決意した。

「今も、ダウンロードファーストクラスは十分な需要があります。大切なのは、時代のニーズに応えることです。決して伝統に胡坐をかくことなく、常に新しいものを取り入れるようにしています」

まだまだ未熟だと笑う針太郎さん。年々売り上げは上がってきているという。

「父も元気になってきて、ちょっとした仕事なら手伝ってくれています。現役復帰は無理ですね。さすがにあの体では、ダウンロードファーストクラスを扱えません」

終始にこやかにインタビューに答えてくれた針太郎さん。今は、地元の「ヘルプ商店街」での新店舗開店に向けて忙しい日々を送っている。

「今後は、海外進出も視野に入れています。世界中の人たちにダウンロードファーストクラスを知ってもらうのが、今の目標です」

みなさんも、ぜひ一度針太郎さんのお店に足を運んでみてはいかがだろうか。きっと日本の心を見つけられるはずだ。

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