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タイムスリップコップ

「登録にない時空の歪みを観測しました。密航者です」
「映像は出せるか」
「捉えました。乗用車型のタイムマシンです。搭乗者は男女二人」
「行先は」
「今から100年前、西暦2022年のようです」
「よし、すぐに時空管理局に連絡してくれ」
「了解しました」

タイムマシンの開発により、かつての海外旅行のように時間旅行を楽しめるようになった。ただし、どの時代へ何の目的で行き、どれくらい滞在するのか、詳細に事前申請をし、厳しい審査を経る必要がある。そのうえで、旅行者はタグを取り付けられ、常に厳しい監視下におかれた。歴史への干渉や改竄を防ぐためだ。

その監視や、無断で時間移動をする密航者の取り締まりを行っているのが、タイムスリップコップである。

「時空の歪みを観測。また密航者です」
「映像は」
「出ました。座敷型のタイムマシンです。搭乗者は……青いネコ型ロボットと、眼鏡をかけた半ズボンの男の子です」
「え」
「時空管理局に連絡し」
「待て。しなくていい」
「なぜですか」
「いいから。大丈夫だから」
「はあ」
「とにかく、彼らには手を出すなという上からのお達しだ」
「上ですか」
「すっごい上だ」

時間の平和は、タイムスリップコップにより守られている。


※参加させていただきました。


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