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手抜き介護 ⑳トップスタイリスト

実家がある街には美容師の友人がいて、髪はいつも彼女にやってもらっている。それが今回、時間が合わないまま自宅に帰ってきたので、地元で新しい美容院を探すことに。近所に行きつけがあった方が、便利に決まっているし。

検索してみたら、サイトが充実しているところはおしゃれな若向けで、気後れしないで済みそうな個人の美容室は情報が少なすぎる。お客さんは顔見知りばかりという店に入るのは、ちょっと緊張するなあ。誰かに紹介してもらいたいけど、この街に知り合いは一人もいない!

大型商業施設の中にある美容院が、予約なしでもOKと謳っていた。場所がら年配のお客さんも多いだろうと思って、行ってみた。受付で3時間後の予約になり、いったん帰宅。思ったよりかなり広く、男性スタッフが多いようだ。

出直していったら、20分ほどの待ち時間でカラーリングの台に案内された。私をエスコートしているのは、まだ10代と思われる少年だ。細くて長いきれいな指で、下準備や片づけを担当しているらしい。ヘアカラーは、ちょびひげイケメン系の男性がやってくれた。途中、「トリートメントは、される予定ですか?」と訊かれた。

しないよりした方が良いだろうと頼んだ後で、目の前にトリートメント料金表があることに気づいた。私の視線の先を見た彼が、「その2番目のがおすすめです」という。3種類あって、1500円から3500円くらいまでらしい。彼との会話はそれだけだった。

カットも、違う男性スタッフに交代した。こちらの要望は、今のスタイルで全体に2センチくらい切ってほしい、だけ。「軽くしますか」というので「はい」というとー。

ズンズン切り始めた。長い髪がばさばさ落ちる。若い時と違って1本1本が細くなってきているから、ボリューム感は大事。いつもは黙って任せる方なんだけど、あまりに躊躇なく切り落とし続けるので我慢できず、「そんなに減らさなくていいです」と言ってしまった。「あ、大丈夫ですよー」という返事。そりゃアンタは大丈夫だろうよ。

後から分かったのだけど、その人が店長らしい。お客から何か言われているのを他のスタッフに聞かれて、気分を害したようだ。最後の前髪を切るとき、「前髪も、重い方が良い?」という。重くしてくれなんて、一言も言っていない。

会計は1万円ちょっとだった。まあ、そのくらいかなとは思ったけど、内訳にトップスタイリスト料金が加算されていた。そういえばサイトを見たとき、「トップスタイリスト」「スタイリスト」と分かれて紹介していた気がする。トップのプライド代か。何だかね。次はないな。

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