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介護に関係ない話 ③ 筋金入りの鉄ちゃん

遠方の友人に会うため、久しぶりにJRを使った。直通はないので、接続が良い乗り換えを調べていたら、行きと帰りは違う路線を使うことに。切符は一部予約し、残りは当日買うことにした。

窓口の若いJRマンに、「A駅で改札を出ますか」と訊かれた。交通要所のA駅なら、ちょっとした待ち時間でも見るところが多くて出たくなる。でも私は違う路線経由だったので「いえ、B駅で乗り換えます」と言うと、瞬間彼の頭に路線図と時刻表が現れた(ように見えた)。そして、今の時間ならそっちが早いな、と納得したように少し微笑んで切符をくれた。

車両に乗り込むと、運転士さんが既に定位置についていた。30歳手前くらいだろうか、1人で声を張って指差し確認をしている。定刻になり、姿勢よくアナウンスする背中が、仕事に誇りを持っているんだろうなと思えて格好良かった。電車が好きなんだろうな、念願敵った運転士なんだろうな、なんて想像してしまう。

学生時代、同期に筋金入りの鉄ちゃんがいた。車両の歴史や種類はもちろん、全国の特急の時刻表をそらんじられる。あの分厚いものを、毎月買って楽しそうに読んでいた。時々誰かが「今から高崎線の新潟駅から『いなほ』に乗るとしたら、何時発がある?」なんて架空の話を振っても、時計を見ながら「今からなら12時13分のが一番早い」と普通に答えられる。そしてもちろん、それは正解だと時刻表で確認できた。

電車のことを質問したら、いつまでも際限なく話し続けるのが面白くもあり面倒臭くもあった。当時はちょっと変わった人としか思わなかったけど、今会ったら当時よりはゆっくり話が聞けそう。そんな趣味を分かち合えるパートナーに巡り合えていたら良いね、と思う。


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