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de&iマガジン〜ダイバーシティ関連記事〜

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ダイバーシティ・コンテンツ・リサーチャー草冠結太のマガジンです。ダイバーシティ&インクルージョンを感じられるイベントやコンテンツに関する記事をまとめます。あとヒップホップも。
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#トランスジェンダー

トランスマーチとチョコレートケーキ

娘の名づけで、後悔していることがある。 ヤバッ。我ながら、まさかあんな不覚をとるとは。 そしてこんなに早く、娘にバレる日が来るとは。 その日とは今年の3月31日。国際トランスジェンダー認知の日だった。 私と娘は東京のJR新宿駅前で、トランスマーチのパレードがやってくるのを待っていた。 正式名称は「東京トランスマーチ2023」。トランスジェンダーの権利と差別反対を訴える催しで、私たちは沿道から声援を送ろうとスタンバっていた。 目の前は、日本最大のバスターミナルの一つ、バス

もしS君が母と夫婦になれてたら〜トランスジェンダーと家族と結婚と〜

彼は美輪明宏様の生まれ変わりなんじゃないか。 そう信じているほど、私はドリアン・ロロブリジーダさんを敬愛している。その氏が先日、結婚された。パートナーはトランス男性とのこと。 数日後、トランス女性とトランス男性夫婦のインタビュー記事を読んだ。 どちらのカップルにも幸多からんことを。どうか末永く。 ちなみに。2024年3月時点で、美輪様はまだ死んでない。たぶん美輪様は死なない。 それはさておき。ニュースを目にして、むかし一緒に暮らしていたS君のことを思い出していた。 私が大

43歳、初めてハイヒールを履いて知ったこと。その半年後。

聴くと心がもう一度、ファイティングポーズをとれる。 きっと誰にも、そんな歌がある。 私にとって、RHYMESTERというラップグループのMy Runway feat. Reiはその一つだ。 この曲を聴いて思い出すのは、今年1月のこと。その日、私は生まれて初めてハイヒールを履いた。 きっかけは「DRAG QUEEN x パフォーマンス朗毒劇 QUEEN's HOUSE」という、ドラァグクイーンの舞台。”毒”は誤字ではない。 その劇場で「wiDth last」というシューズブ

映画「エゴイスト」を観て、かつての家族を思い出した

ある日、私の母親がボーイフレンドを連れて帰ってきました。 そのボーイフレンドは、トランスジェンダー男性でした。R君と言いました。 その日から、私たちは家族になりした。 彼とは、私が大学生になってから就職して、一人暮らしをするまで、一つ屋根の下で暮らしました。草冠家の祖父母ともども。 私、弟、母親、FtMのR君、じいさん、ばあさん。 多様性とやらに屋根をのせたような家。 ま、うまくいかないですわな。 なので、映画「エゴイスト」の終盤は、観ていて気が気じゃなかった。 「浩輔

LGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」探訪記〜情報の量と質、ホスピタリティがスゴかった!〜

「見つけた!」 とある施設のSNSを見た瞬間、思わず声をあげました。ウォーリーを探せたテンション。 その施設とは『プライドハウス東京レガシー』。LGBTQ+にまつわる情報発信をはじめ、多岐にわたる活動を展開しているところです。 LGBTQ+について、ちゃんとしたことを知りたい時。理解を深めたい時。ネットや書籍ではなく、誰かに質問したくなることがあります。 そんな私にとって(会社の人事部とかにもそういう方いるかも)、プライドハウス東京レガシーはまさに虹色に輝いて見えました。

約1,000人の大行進!東京トランスマーチ2022が「想像以上」の連続だった

2022年11月12日(土)。東京都新宿区で「東京トランスマーチ2022」が開催されました。 11月20日の「トランスジェンダー追悼の日」に先駆け、トランスジェンダー認知週間に開催されたこのイベント。 一部報道によれば、当事者を含めた約1,000人がマーチに参加したとのこと。 会場に、路上に、まさに多様な人々が大集合して、メッセージを発信しました。その様子をレポートします。 賑わうブース、熱いスピーチ。多様性を体現した会場はグッドバイブス会場となったのは、東京都新宿区の新宿

家族にトランス当事者がいた私が悶絶した映画「片袖の魚」〜マイクロアグレッションは本当に”マイクロ”か問題〜【ネタバレ注意】

『居心地が悪くなる映画』というものがあります。 もちろん、いい意味で。 自分が今いる場所を疑うきっかけになってくれる。そんな映画。 シアターフォーオールで配信されている「片袖の魚」という映画が、まさにそれでした。 悪意なき人々が意図せずに、だからこそ日常的にとってしまう差別的言動。 そんな、"マイノリティへの小さな攻撃”がテーマの一つです。 監督いわく 「日本で初めて、トランスジェンダー当事者を一般公募でオーディションして作られた映画」。 とのこと。 読後感は、ソワソワ