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de&iマガジン〜ダイバーシティ関連記事〜

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ダイバーシティ・コンテンツ・リサーチャー草冠結太のマガジンです。ダイバーシティ&インクルージョンを感じられるイベントやコンテンツに関する記事をまとめます。あとヒップホップも。
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2023年8月の記事一覧

手記の朗読と歌で、HIVの今を知る。「Living Togetherのど自慢」に行った

(本稿はプライバシーに配慮し、会場の様子は撮影せず、個人に関する記載は公式サイトの情報に留めています) 入口のドアを開けるなり、私は左手をポケットに隠すのをやめた。 そこが安心していられる空間だと、すぐにわかったからだった。 薬指に指輪をはめた自分は、その場にふさわしくないのでは。そう怯えていたのだが、ホッとした。 私が訪れていたのは東京・新宿2丁目のスナック九州男。新宿に長く通っていれば、一度は耳にする老舗だ。 そこで「Living Togetherのど自慢」というイベ

靴を脱いで、点字ブロックを感じたら、見えてきたこと

価値観を変えられてしまった授業がある。 人生が、その授業の以前と以後に分けてしまえるほどの。 それほどまでに重要なのに、講義名は、忘れた。 たしか心理学か認知学だったと思う。 しかし講義名は忘れても、講義の内容は忘れない。 人間は、自分の意志で動いているようで、実はそうとばかりは言い切れない。 環境のさまざまな要素が人間に影響を与え、感情や動作が引き出されている。つまり、人は環境に操られることもある、ということ。それをアフォーダンスという。 たとえば、箱に丸い穴が空いていれ

山下清を観に行って、世界の明るさを思い出した。

「長岡の花火」が、6歳児の脳裏に焼き付いたらしい。 YouTubeで流れてきた、一枚の絵。 「なにいまの。すごい」 「あの絵、凄いよね」 「すごいなんてもんじゃないでしょ」 「デカいんだよ、本物は。観に行ってみる?」 「いく。あと、かきごおりたべたい」 「アタシも行くわ。山下清、観てみたい」 「おかさんもいこう!それとかきごおりたべたい」 家族三人連れ立って行ったのは、東京・新宿でやっていた山下清展だった。 貼絵、点描画、染絵、ペン画。文化度が預金金利くらい低い暮らしをして