紙ヒコーキおじさんのいる公園に
朝っぱらから、妻が暗い映画を観ていた。
子どもと夫をともに失った女。女の生活を支える、秘密を抱えた男。
テレビ画面が、二人の幸せな日常を静謐に、そして儚く映していた。
「こんだけ男前やと、軽トラ乗っても男前やな」
妻が暴言で俳優を褒める。車種と運転手の顔だちに関係を見出す人に、初めて出会った。彼女との鑑賞はいつも新鮮だ。
そうは言ってもこの映画は、起きぬけには重すぎる。
私は迫真の演技にいたたまれなくなり、近所の公園へ散歩にでかけることにした。
春には桜の名所として賑わう公