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鑑賞記録#05『博士と狂人』

 今回はアメリカの映画『博士と狂人』(2019年)を鑑賞いたしました。

 「19世紀、独学で言語学博士となったマレーは、オックスフォード大学で英語辞典編纂をはじめた。一方、殺人犯で精神病患者のマイナーは今まさに収監されようとしていた。」とかいう簡単な紹介文だけ読んで鑑賞をはじめたのですが、思いもかけず好みどんぴしゃな映画でした。

 ざっとあらすじを紹介しますと、舞台は19世紀のイギリス、独学で多言語をマスターしたマレーという人物が、オックスフォード大学の辞書編纂プロジェクトの責任者になるところから物語はスタートします。並行して、マイナーという人物が幻覚から殺人を犯してしまい犯罪者用の精神病棟に収監されるシーンが描かれます。なかなか交わらない二つのドラマ、というか、どう考えても接点などないであろう二人の人生が、ある偶然によって結びつきます。そこから感動の辞書編纂ストーリーが始まるのかとおもいきや、物語はとんでもなく重い方向へ。ラストはとりあえず救いのあるものでしたが、諸手をあげてのハッピーエンドではなく、現実味のある、ずっしりした重みのあるものとなっていました。

 途中、トイレ休憩に入った時に検索して知ったのですが、この物語は実話を元にした作品とのこと。実話を元にした作品は、実際にその時代を生きた人間やその人生に思いを馳せることができるので大好物なのですが、トイレ休憩から帰って来て鑑賞を再開してから物語がどんどん重い方向へ進んでいくので、これ本当に史実なの…えぐい…フィクションじゃないの…きつい…と心臓をつかまれる思いで完走しました(目はらんらんでしたが)。
 実話を元にした作品鑑賞の感想すべてに言えることですが、そういう人が実際にいたのだという事実を知ることができて、エンタメ化してくださった方々に感謝するとともに、そうやってエンタメ化により他者に拾い上げられた人生の方が少ないのよなーとしみじみ思ったりします。だから広い意味での時代劇はとても好きなんですが。

 また、19世紀のイギリスの風俗がとても細かに再現されていて、そこも見どころの一つでした。貴族社会から下町の風俗まで、お話自体のスケールがそこまで大きくないので決して舞台は広くないのですが、見ていて十分に世界観を楽しむことができました。


 ちなみに、今作品の創作秘話がこちらのサイトに詳しいので載せておきます(投げ)。


 また、こちらはフィクションですが、日本語の辞書編纂をかわいらしいアニメーションで描いた作品もありますので、ついでに載せておきたいと思います。私は数年前にこちらの作品を見たのですが、こちらは心温まるほっこり系のお話です。なんだか同じ辞書編纂を描くにしても、お国柄が出ている感じがしていいですよね。


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