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現代俳句 作品集 33 〜梅の花〜


「 梅の花 」
~現代俳句〜

はつがらす一の鳥居を飛び立つか

影だけを落としてにわの寒つばき

飲みほしてあすのかおりの生姜酒

つぎつぎにとぶ初鳩のそらひとつ

このまどにひとつまたたく初星よ

くべくべて空のちかさよどんど焼

テーブルも椅子も日向に春を待つ

船旅よ無がふりつづくゆきのうみ

きたぐによ数減ってゆく雪だるま

アルプスの嶺ひとつずつ雪をよぶ

富士の影あらわにふゆの星ぞらよ

手かざしてさいげつという落葉焚

ふと空をあおぎみて雪ふりやむか

しずけさがはらとひとひら寒牡丹

あたたまれ湯気ごくごくと玉子酒

和歌にある詠みびと知らず蝋梅よ

陽だまりに明日がゆれて冬すみれ

背のばしてねむりねむらず置炬燵

寒夕焼けだれが故郷をわすれるか

まいにちがじんせいの果て冬の月

まっさきに散ってゆくのも早梅よ

寒がらす街びとに尾をむけて飛ぶ

おおくじらちいさな星の海を跳ぶ

受ける手をいくつこぼれて福の豆

目ひらいて今日にもどるか春炬燵

しあわせも生きていればよ春炬燵

枝じゅうのつぼみのひとつ梅の花

梅の空ほほ笑むようにまぶしむか

萌え出して世のあかるさよ蕗の薹

地上から引っぱりつづけ凧揚げよ

01月16日〜02月08日


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