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現代俳句 作品集 31 〜年末〜


「 年末 」
~現代俳句〜

来年を見つめていれば降るゆきよ


飛んでゆく雲も師走ということか


書きためて文字のおもさか古日記


たちのぼる湯気鎮めつつ餅つきか


湯気よりも透きとおるのは大根煮


ゆうばえよひがしあからむ雪の嶺


野うさぎが澄ます耳によ千々の音


たびびとも川ゆく舟もはつしぐれ


えだえだのあかるむ空よ冬ざくら


擦る墨はすずりのうみへ雪降る夜

家いえにあさがくるたび門松立つ


松のえだ雲のようによとしのくれ


たましいの高羽ばたきよふゆの蝶


引越しの部屋にのこして古ごよみ


駅を出て人それぞれのボーナス日


大どおりただまっすぐに行く年か


大どおりにしにひがしに年のくれ


じてん車ののぼりのぼれず雪の坂


陽とともにすずめ降りきて雪達磨


灯の窓に降りつづけてよ聖夜の雪

公園に空しかなくてふゆあたたか


いるほどの人あつまって餅つきか


背をながす煤湯の湯気の白さこそ


煤湯出て星がゆたかであることよ


拭いてすぐくもるかがみよ雪の宿


たかい嶺雪をかさねてとしのくれ


日のあたる墓ぽつとたつ蕪村の忌


踏みしめてじぶんの音か枯れ野道


舞う雪をつきふるわすか除夜の鐘


かなたまで町の屋根屋根除夜の鐘


12月15日〜12月26日


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